思えば昔。そう遠くは無い過去に全てを失ったつもりでいた。全部落として大事なものを何も掴めない手。伽藍桐の心。それでも良かった。信じるなんてもうオレには赦されない行為だと決めつけて、伸ばされた手も取った振りをして逆方向に逃げた。

ごめんな、優しくしてくれたのに。でもオレ怖いんだよ。喪うなんてもう嫌だから。あんな痛みもう二度とごめんだ。

もう亡くさない、離さない。

触れる前に触れられたらどうしようもない。自分本位の内に、優位に立てる内に触れてしまいたい。

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すぐにニヤけ顔が頭に浮かんだから止めておく。あのだらしない顔を見れるのはオレの特権。

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居ないところなら言える好意を伝える言葉。当人が思ってるよりずっと好きだ。言わないと。
呼吸の仕方？もう忘れた。一緒に居なきゃ息が出来ない、なんて。戯言を抜かすくらいに溺れてる。

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ねむい。寝た、かな。オレも寝よう。寝ます。

抱き締めて、キスをして、愛を囁きながら眠りに就きたいの。
何時もみたいに笑いながら話す時間も好き。笑顔が愛しくて、頭を撫でる手が優しくて。

>「もっとして？」

そうねだりたい時はなきにしもあらずと言いますか…口から出るのは憎まれ口。心と裏腹の拒否反応。
これが天の邪鬼というものなのでしょうか。


エレンもユミルも押しやって、「私を愛してよ！」って言いたくなっちゃう。そんなの駄目って分かってる。だから言わないよ。


自分に嫉妬なんて、初めてね。

あの日のような不安定な天気。まるで心の模様を映した曇り空に、貴方も悲しいと思ったりするのかな、なんて考えたりして。
頬を伝うのが雨粒なのか涙なのか、知らない振りをして笑い掛けた。





私はどうしても信じられないからいつも怯えている。
こんなに弱い、どうして強くなれないんだろう。
私はどうして、前を見て、向かうことが出来ないんだろう。