スレ一覧
┗318.最後の一秒を君と一緒に《R20》(6-10/217)

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6 :エルヴィン・スミス
2014/08/27(水) 23:05

We first made each other's acquaintance in summer

出会ったのは二か月と少し前。
彼の募集記事を見て声をかけた。
元より詳細な好みがあったわけではなかった。
ただ、彼の文章に惹かれるものがあった。
幸いにも返信があり、やり取りが始まり、いつの間にか好きになっていた。

最初は上司と部下だった。
鳩を取り交わしてから彼のことを知るようになった。
彼は自分のことを面白くない人間だと評したが、私には興味深かった。
可愛いと言えば可愛らしくはないだろうと不機嫌そうに眉を寄せたが、私には愛しくてたまらなかった。
他愛もない話が楽しかった。
彼も同じように思ってくれていればいいと願った。

1週間が経過し、継続するかどうかを決めるその日に、私から告白した。
早すぎると難色を示される可能性もあったが、気持ちを抑えきれなかった。

彼に関することでは、私はまるで十代の少年のようだ。
想いは膨れ上がり、瑞々しく世界の色を変え、妥協と建前と駆け引きを奪う。
性行為はサービスと愛情表現、性欲などもはや湧き起ってくるものではないと思っていたが、彼を抱きたいという衝動は強く戸惑うほどだった。
余裕を失い臆病にもなる。
誰かに疎まれることを恐れるなどここ数年なかった。

十代の自分が感じたことのある感情なのか思い出せもしないが、きっとこれは「恋」なのだろう。

毎日、彼に恋をする。

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7 :エルヴィン・スミス
2014/08/28(木) 21:02

Stop holding out on me

隠し事をするな、と君は言った。
どこまで知っている?
鍵をかけているのにもうここを見つけているのだろうか。
いや、違うな。
少し前に、我々はお互いの全てを見せ合う約束をした。
私が冗談で、お前には秘密にする、などと言ったから釘を刺しただけだろう。

彼にはいつも見透かされているような気がする。
自分でも気づかなかった感情に指摘されてから気づく。
単に人の気持ちに敏いのか、私のことを良く見ていてくれるからか。
私の悪い癖を諭すような時でも言葉には思いやりがあり、彼の愛情を感じて敵わないなと思う。

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8 :エルヴィン・スミス
2014/08/28(木) 23:03

I like that kind of thing about him

好きなところは書ききれないほどある。

一つは、彼の世話の焼き方。
初めに思いがけず胸が高鳴ったのは、私が雑に羽織ったジャケットの襟を直してくれる仕草だった。
無造作に伸びてきた骨ばった指が襟を掴むと彼の髪が近づいてふわりと石鹸の香りがした。
平静を装って、ありがとうなどと返したが、そのまま腕を伸ばして抱き寄せてしまいたかった。
二度目は、濡れた髪を拭いてくれた指に。
三度目は、新しい靴を選んでくれた時に。
彼が傍らに居て私のことを考えてくれることの心地良さ。
押し付けがましくなく自然な世話の焼き方は、彼自身の性質や存在に寄るところが大きいのだと思う。

だが、わざと不摂生をしていればたちまち叱られる。
ただ甘やかすだけを良しとしない、そんなところも好きだ。

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9 :エルヴィン・スミス
2014/08/29(金) 23:06

kitty

7月1日、 彼女を捕えた。
正確に言えば、捕えたのは私でなく部下だ。
彼女は黒く痩せ細った子猫。
厩舎に迷い込み騒ぎを起こした。
気性が激しく、舎内を駆け回って馬たちを恐慌状態に陥れた挙句、当時の馬番に追い詰められると逆に飛び掛かってきたらしい。

最終的に飼うと決めたのは私だが、切欠は彼の言葉だった。
口にしたら不機嫌になるだろうが、出会った頃のリヴァイに似ていると思った。

始めの頃は餌も私が居る間は口にしてくれず、触ろうとすれば傷だらけになったものだが、今ではすっかり懐いて私の部屋を我がもの顔で歩き回るようになった。
お転婆で可愛らしい私のお姫様。
彼にはいつも甘やかし過ぎだと釘を刺されている。

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10 :エルヴィン・スミス
2014/08/29(金) 23:44

That's the way the ball bounces

いつもなら連絡のある時間に連絡が来ない。
忙しいのだろう、何か用事が入ったのだろう、と気にとめていないふりをするのだが、心のどこかでこれで終わりかもしれないとも考える。
彼を信用していないわけではない。
言葉通り私に好意を寄せてくれていると思っているし、元より律儀で忙しい時間を縫って鳩を寄越してくれるのもわかっている。
ただ世の中には仕方がないことがあると知っている。
打ち切りたくても鳩が送れない状況や突然の事故や不幸の類だ。
あるのは知っているが考えても仕方がない。
連絡のない日は不安や推論の類を押しやってとりあえず眠ることにしている。
数日経ったら連絡を取る方法を模索し始める。

一週間に一度の連絡頻度で付き合い続けている恋人たちもいる。毎日手紙を送り、互いの部屋で一緒に眠る私たちはとても恵まれている。
彼が、忙しくても一日の終わりにおやすみは言いたい、と言ってくれたのは嬉しかった。私も同じ気持ちだったからだ。


◇◇◇◇
昨日、彼は夕方に仮眠を取ってその日のうちに目覚めなかったらしい。
今目が覚めた、と明け方に手紙が届いた。
そう言えば、前にも同じようなことがあったのを思い出した。
終わりの予測は大抵ただの杞憂で終わる。

重ねて丁寧な謝罪の手紙が届いた。
急に呼び出され、出かけていて私の返信が遅れたせいだな。
たかが一日連絡がなかっただけで愛想を尽かすことなどありえないのだが、少しでもいつもと違うと最悪の事態を想定するところは彼も私も似ているのかもしれない。
すまないことをした。
だが、私からの鳩がないと落ち着かないと彼が言ってくれたことが嬉しかった。

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