人の物程手に入れたいと願う。それを手に出来るならどんな努力も厭わない。その癖手に入れて仕舞えば飽きる。困った性分だ。…横恋慕が趣味って訳ではねぇんだがな。自らの思考を理解はしている。誰かの伴侶が魅力的に見えるのは当たり前だろう？その伴侶の存在が、其奴の魅力を裏付けている。そんな事ばかり考えている所為で、俺は変われねぇんだろうな。

> 幾ら御託を並べても、無意味だ。

敢えて言葉にするならば、身に余る幸福。甘い蜜の中で溺死してしまいそうな感覚。僕にもこんな時間が許されるのだろうか。そうやって自問を繰り返すけれど、答えは出ない。知られなければ誰も傷付けずに済む。悪い事をしている訳ではない、だとしても良く思われる事でもないから。僕みたいな人は腐る程居るだろうし、こんな事を一々考えるのも可笑しな話なのかな。楽しければそれで良い、そう思えて居た日々が酷く懐かしい。

> 好きだよ、本当に。

赤い糸の結び目は酷く脆くて、直ぐに解けてしまう。僕は思うんだ、これは相応の報いだと。仕方ない事だと諦観出来れば良いんだけど、其処まで物分かりの良い人間じゃないみたいで。解けた糸の先を無様に掴もうと手を伸ばす姿が醜い。何時からこんなに何かに執着するようになったんだろう。あんなに簡単に色んな物を切り捨てて来た癖にね。大切にしたいと思う人程上手く行かないのは、どうしてかな。

> 淡く儚い、まるで朝靄のような恋ばかり。

鬱々とした感情に支配される。幾ら気取って見せても結局は自分の脆さを何度も思い知る事になる。捨てろ、そんな生温い感情は。諦めろ、俺の歩んだ道程に幸福なんて言葉は存在しねぇだろうが。果たされない永遠、終わりに向かって始まる恋。逃げ道を残せ、自衛の為に。

> 大丈夫だ、そうだろう？

明けましておめでとうございます、と別に誰に言う訳でもなく。僕の日常に変化はない。ああ、強いて挙げるなら幾つかの関係を清算した事かな。運のなさにいい加減辟易してしまうけど、きっと僕はまた同じ事を繰り返すんだろう。今年はどんな出会いと別れがあるのか、今から楽しみでならないから。…そろそろ執着や溺愛って言葉を使えるような人に会えれば良いんだけど、唯一を作るのが苦手な僕には縁遠い話だね。

> 今年も良い年になりますように。