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┗272.白刃に消ゆ。【半完混合、時に背後透過/R18】

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1 :オルオ・ボザド
2013/12/21(土) 08:12

『この世界に絶対の正義なんざ、ありはしない。
だからこそ、俺達はもがき、足掻き、手を伸ばす。

俺の正義は、揺るぎなく、あるのか。
>(いつだって心は揺らぐものなのに)
俺の心は、何処に置いてきたのか?
>(何処かに置いてきたみたいに、空虚が胸を締め付ける)』



・綴り手 オルオ・ボザド。本当に時々リヴァイ。
・半完混合。グダグダ呟き。暗い。グロい。
・交流、乱入可。
・エロは無くともグロがある。R18。


>>2 本棚
>>3 紹介
>>51 まとめ・目次



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80 :オルオ・ボザド
2014/04/01(火) 01:22

>四月馬鹿。




夢のような日々を過ごせるのは、午前中だけ。
人を傷つける嘘はついてはいけない。
ついた嘘は一年間は叶わない。


俺も、嘘を吐いて見た。


なぁ、こんな幸せな日々が有る訳ねぇって、誰よりわかってるだろう?

俺と、この手記を読んでいるそこのお前。


>そう、俺たちの生きる世界はとても残酷なんだ。


俺たちの生きる世界の幸せっていうのは…本当に砂金の様にきらきらと輝いている、だけれど。

俺は兵士のまま。
ペトラは兵士のまま。
リヴァイ兵士長は兵士長のまま。
エルドは班長のまま。
グンタは兵士のまま。

誰も俺の班から脱落しては居ねぇ。
勿論俺の右足だって健在だ。
俺の両手は花なんて持たねぇ。

相も変わらずブレードを握り締め、死線の先を睨んでいる。

いつか、本当にいつか。
この手記に書いたような、絵に描いたような未来が来ることを信じて、信じて、俺はブレードを振るう。


俺の視線の先に、いつだってある死、そしてそれを飛び越えた未来。それらを、どうにか掴み取る為に。


ああ、でも。


あの描いた未来が本当になったら、
本当に幸せだろうと思うぜ。


誰も誰を殺すわけでもねぇ、幸せな世界。



>………さあ、夢から醒めよう。



>俺は、調査兵団所属、特別作戦班班員、オルオ・ボザド。

俺の白刃は、死ぬまで折れない。
壊れるまで、死線の先を睨み続ける。
人類の未来のために。



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81 :オルオ・ボザド
2014/04/02(水) 10:29

>罰ゲームは徒然に。1
>(C崩壊注意)


先日から行っていた二重人格症候群の兵長との対人格闘訓練にケリがついた。
何故か負けた方が罰ゲームにバトン回答というルールが加わり本気でやったよ。やりつくしたぞ俺は。

>ルールは
>・刃を潰した二本のブレード、ガス満タンの立体機動装置、フィールド内の石や木の枝などのみ使用可。
>・勝敗条件は意識を失う、ブレードが二本とも砕ける、ガスが尽きる。
だった。

そして俺と兵長のガチンコバトルの結果。

>俺
右足脛罅。肋骨二本骨折。ブレード全破損。

#兵長
左腕骨折。ブレード全破損。


>結果は両者引き分けだ。


まさか一般兵の俺が、人類最強の兵長を相手にあそこまで戦えるとは思っていなかった。
気絶狙いの技が効かなかった事、結構最初の段階で足を犠牲にブレードを守った結果、右足の損傷から機動力が落ちてしまったことが悔やまれるが、俺は全力だった。
本当に良い訓練をさせてもらえたと思う。
お蔭様で、兵長の動きを少しでもトレス出来る自信も沸いた。
人類最強とは体のポテンシャルが違いすぎるが、それでも俺の白刃はまだ鋭くなる可能性があると知れただけでも、十分な戦果と言える。

なので…

先に罰ゲームに応えた男気溢れる兵長に、俺も追随するしか有るまい。




>★全力フルチンにゃんにゃんバトン★

>(性別女は全力で逃げろ。いや逃げてください)


白1・気まずい同居人との接し方さんより借りてきました。勝手にお借りしてすみません。


>【普段クッソ真面目な俺たちがぶっ壊れるには丁度いいでしょう。さあ兵長。共に全裸でにゃんにゃんしましょうぜ。(死にそうな笑顔で舌噛みつつ)(兵長に送りつけた際の原文ママ)】



【全力フルチンにゃんにゃんバトン】


#とりあえずお前ら脱げ。そして語尾を猫にして俺からの質問に答えろ。

ハッ!了解です兵長!
って事は俺はタメ口の方が良いんだにゃ。敬語だとにゃんにゃんできねぇにゃー。
(バッと兵服を脱ぎ捨て堂々と全裸。顔は正直に赤くなり双眸は今にも泣き出しそうだが腕を組み両頬を掌で叩いて気合入れ)
よし来いにゃ!きやがれにゃ!!クソが!にゃ。

>【自己紹介編】

#1,名前
オルオ・ボザドにゃ。
現在調査兵団、特別作戦班に所属してるにゃー。

#2,現在の装備
男は黙って全裸にゃ。猫耳?尻尾?それを付ける位にゃら、舌噛んで死ぬにゃ。おい。この格好だけでも十分にゃ羞恥プレイだろうにゃ。これ以上俺を追い詰めないで欲しいのにゃ!

#3,今日のオカズ
今日のオカズは相変わらずの薄いスープだったにゃ。薄かったにゃ。クソが、塩が安ければ…!
あ?そっちじゃねぇのかにゃ。仕方にゃいにゃあ…(ごそごそぺらっ)【ずぶ濡れの午後。狙われた少女】にゃ。簡単に説明すると春本だにゃ。春本。ソロプレイ乙?馬鹿野郎俺たち兵士に恋をする暇にゃんて……チクショウ悔しくにゃんてにゃいからにゃ!!!!




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82 :オルオ・ボザド
2014/04/02(水) 10:36

>罰ゲームは徒然に。2
>(C崩壊注意)


#4,今日のパンツ
さっきまで履いてたパンツは兵団支給の飾り気も色気も皆無のまっちろトランクスだったにゃ。俺はブリーフは嫌いだにゃ。トランクスが一番落ち着くにゃー。

#5,今日のブラジャー
俺は異性装の趣味はねぇにゃ。ので、好みのブラジャーを語るとするにゃ。
サテンとかつるつるしてるのか、ふわっとしてるケーキみてぇなブラジャーが好きにゃ。色?白かクリーム色一択に決まってるだろうがバカかにゃん。清楚は正義にゃ!

#6,お前の勝負下着
勝負下着……。
え?頑張る時用のやつ?ああ、花売りのお姉さんのとこ行っても恥かしく無い系かにゃ。
それなら黒のローライズボクサーだにゃ。花売りのお姉さんに位格好つけるにゃ。ビキニとかは恥ずかしくて履いた事ないにゃ。

#7,恋人もしくはエア恋人を口説け (ここは真面目に。文中に(全裸で)を入れろ。)
(敢えてペトラは選ばない。汚したくない。のでグンタに告ることにしたにゃ。すまんにゃグンタ。ホントマジごめんにゃ)

なぁ、ちょっと時間くれよ。…グンタ、(俺は全裸だが)真面目な話しなんだ。(全裸で)よく聞いてほしい。
俺はお前の事を(全裸で)ずっと見てた。いや、最初はペトラの事を(全裸で)見てると思ったんだが……どうも、違うって、最近気が付いた。
俺の視線の先に居たのは、確かにペトラだ。でも、その隣にはいつもお前の逞しい背中が有ったな。
お前が(全裸の)俺に【覚悟】を教えた。そして…俺が崩れそうなときに、不器用な掌で俺の頭をなでてくれたな。
凄く、すごく、うれしかったんだ。(全裸だけど)本当に泣きそうなくらい嬉しかった。
なぁ、グンタ。気持ち悪ぃかもしれねぇが…

…お前の事を、(全裸で)好きになっていいか…?

#8,辱しめたい(回したい)相手がいれば書け

>優等生日記のマルコ。お前ならやれる。俺と一緒に羞恥心を溝に投げ捨てるといいかもしれない。全裸の開放感に気が付いたらきっと裸エプロンも恥かしくねぇぞ!

>くちくったーのエレン。お前の変態ぶりなら俺より面白おかしくこのバトンを料理できるはずだ!期待している!

>友人観察日記のコニー。お前の明るさでこのバトンを完走してくれ!

>交換日記から始めようのグンタと俺。頑張れ。クソ真面目なままで頑張れ。末永く爆発しろ下さい。


>因みにスルー可だ。俺はそこまで鬼じゃねぇからな。



………さてと。(脱ぎ捨てた服を着なおし。クラバットを首筋に巻くとおもむろに立体機動装置を装着し。ささっと一筆残すと両手にブレードを構え深呼吸し、窓から飛び去って。机には「旅に出ます」と一筆の手紙が残り―――)


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83 :オルオ・ボザド
2014/04/04(金) 22:45

>生きるということは何かを殺すことだ。




「守りたい」そう思える存在が俺にだっている。
>それは家族だったり、仲間だったり、…俺の片思いの相手だったり。

何故、家族を守ることに手を血に染めることに躊躇いをもたねぇのに、


>何故、好きな人を守ることで染まりかえった腕を見て、俺は嫌悪するんだろうか。



仕方ねぇだろうが。
>守る為に殺すのは、どうしようもねぇだろ。

解ってるだろ。
>兵士である限り、綺麗な腕ではいられねぇって事くらい。

生きる為に、家族を養う為に、血を浴びる。血を流す。
>それを是として俺は訓練兵団に志願したんだ。



なのに、どうして、なんで。



後悔をしないと誓った心臓が揺れやがる。



壁外調査から帰って、実家に帰る。
無事を喜んで、ガキ共と戯れて、実家の俺の部屋に帰って寝る。
懐かしい匂いの布団に埋もれた瞬間に、心臓が冷え切る感覚を覚えるんだ。


俺の家族が、こうして生きてる。

>平穏に、平凡に、幸せそうな弟達。

働く親父。飯を作るお袋。

>何の問題もねぇだろ。なぁ。


頭の中で馴染みの声が響く。


>―――こうして平穏に生きる為に、お前は何人殺した。


耳を塞いでも声は追ってくる。


>―――こうやってガキ共が笑う、その笑顔のためだと大義名分を掲げて、俺の白刃は一体何人切った。


人を殺した金で、巨人を殺した金で、仲間に慈悲をくれたそれで
俺は、家族の笑顔を買ってる。
そう気が付いて、いつだって絶句するんだ。


人の命に値段があるとは思いたくねぇ。
でも実際俺がやってることは何だ。
仲間を見捨てることもある。
作戦を優先するならば、巨人と戦えなくなったものを見捨てるのは是なんだ。それも知ってる。
けれど、それでも、なぁ。


>俺の真っ赤な手で養われる家族だって、
>同罪なんじゃねぇか。


無意識のうちに俺は家族すら血の海に引きずり込んでる、そんな妄想が頭を占めて、首が絞まった様に呼吸が苦しくなった。


嗚呼。
答えがあるっつーなら教えろよ、神様。
生きる為に必死な俺たちの犯す罪は、一体どれだけ重いんだ?
生きるだけで何で、こんなに手が真っ赤なんだ。
生きていく為に、なんで雑草の様に人を殺すんだ。
俺の中にその疑問への答えがねぇんだ。なぁ。



頭を抱えて、頭まで布団を被って、無理に目を閉じた。



俺は後悔してはならねぇ。


後悔してみろ。解るか俺。
刃が鈍る。
誰も彼も何かを殺して生きているこの残酷な世界で、そんなことになってみろ。
今度は俺が死ぬ。



>俺は、まだ死ねない。まだ、家族を守りてぇんだ。



クソ野郎でも人殺しでも良い。
俺は、生きる。生き抜く。絶対に。


>生き抜く。どれだけ汚れようが、人の心を失おうが、絶対に。


絶対に。



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3 :オルオ・ボザド
2013/12/21(土) 08:16

>当日記について。

・基本は完。
・壁外遠征、過去、捏造有り。
・捏造設定、エア想い人登場。
・捏造オリジナルキャラクターが出る可能性有り。
・グロい。
・基本俺がだらだら思考を垂れ流す。たまに思い出したようにリヴァイ兵長が思考を垂れ流す。どっちにしろエロは無い。有るのはグロだけだ。



>俺について。

・うなじの中身は20↑。
・初恋らしきものはきっとぺトラ(エア想い人)
・きっとDT。もしくは素人DT。
・基本重苦しい。
・交流乱入大歓迎。返信時半。


>兵長について。

・練習中。暗い三十路。格好良い兵長になりたい。
・割とヤリチン。恐らく左側。
・基本大変重苦しい。



#・此処のところよく腹を壊す。おもいきって腹巻をしたら完治した。

51 :オルオ・ボザド
2014/02/28(金) 18:24

>纏める為のページ。





#壁外遠征妄想系(捏造/毎度グロ注意)

>>20
>>30,31
>>48,49
>>56(新兵時代捏造)


#リヴァイ兵長系(やっぱりグロ注意)

>>46


#私信(珍しくほのぼのした俺)

>>19,27,43,53
>>57,58,77

#ありがたき乱入
>>73,74
#(お返事)
>>75,76

#四月馬鹿(嘘日記とネタばらし)
>>78,79,80



80 :オルオ・ボザド
2014/04/01(火) 01:22

>四月馬鹿。




夢のような日々を過ごせるのは、午前中だけ。
人を傷つける嘘はついてはいけない。
ついた嘘は一年間は叶わない。


俺も、嘘を吐いて見た。


なぁ、こんな幸せな日々が有る訳ねぇって、誰よりわかってるだろう?

俺と、この手記を読んでいるそこのお前。


>そう、俺たちの生きる世界はとても残酷なんだ。


俺たちの生きる世界の幸せっていうのは…本当に砂金の様にきらきらと輝いている、だけれど。

俺は兵士のまま。
ペトラは兵士のまま。
リヴァイ兵士長は兵士長のまま。
エルドは班長のまま。
グンタは兵士のまま。

誰も俺の班から脱落しては居ねぇ。
勿論俺の右足だって健在だ。
俺の両手は花なんて持たねぇ。

相も変わらずブレードを握り締め、死線の先を睨んでいる。

いつか、本当にいつか。
この手記に書いたような、絵に描いたような未来が来ることを信じて、信じて、俺はブレードを振るう。


俺の視線の先に、いつだってある死、そしてそれを飛び越えた未来。それらを、どうにか掴み取る為に。


ああ、でも。


あの描いた未来が本当になったら、
本当に幸せだろうと思うぜ。


誰も誰を殺すわけでもねぇ、幸せな世界。



>………さあ、夢から醒めよう。



>俺は、調査兵団所属、特別作戦班班員、オルオ・ボザド。

俺の白刃は、死ぬまで折れない。
壊れるまで、死線の先を睨み続ける。
人類の未来のために。



19 :オルオ・ボザド
2014/01/01(水) 13:22

>返信を頂いたので、俺からも返信をお返ししたい。

#228.【A will】ミケ・ザカリアスの残した手記 様

ハンジ分隊長、ご返信ありがとうございました!
まさか愛読させてもらっていたミケ分隊長の手記の本棚に俺の未熟な本が入れてもらえるなんて思っても見なかったです…!マジで本棚三度見しました…!!!!
なんだか俺の日記は重苦しい文章が多くて、笑って読めるようなもんでなくて微妙にアレな日記なのですが…!本当に、読んでくださりありがとうございました。

心を痛めつけないというのは兵士として、俺も意識してるところでは有るんですが、なかなかうまくいかねえもんで…もうちょっとナーバスにならねえように、恵まれた班員と頑張っていこうと思います。

ミケ分隊長の手記にも、ハンジ分隊長の書き綴るツッコミも、どっちも楽しみにしていますので、これからも是非、思うまま、筆を取ってください!

1ファンとして、更新を楽しみにしています!


20 :オルオ・ボザド
2014/01/01(水) 13:57

(古い日記の紙片)
>捏造注意

第XX回、壁外調査。

今回も俺は、生きて帰ってきた。
無傷とはいえねえ。肋骨を持ってかれたが、それでも生きてる。

生きてることを喜ぶ気持ちと、帰ってきたその後、減った兵士の中に同期の姿が見当たらないことに気が付いて、しまった。
俺の訓練兵団時代の同期は、やはりというべきか。いや、あいつらの能力が云々じゃねえ。でも、確実に減っている。

俺は必死で同期の一人の顔を捜した。
少なくともこの数年間。そいつは生きて帰ってきていた。
しかし―――現実は残酷だ。
俺が目にすることが出来たのは、そいつのジャケットと、左腕だけだった…

訓練兵団時代、そいつとは仲良が良かった。同じ釜の飯を食った。二人で壁の上で、部屋で、将来について語り合った。…俺が入って何年か後だったろうか。あのころの記憶は時折前後が定かではない。だが、兎に角、ウォール・マリアは破られた。激しく動く世相から取り残された訓練兵団の中で、俺は将来調査兵団になると決めた。そいつと共に、自由の翼を背負い、人類の進撃を、領土の奪取を目指そう、いつかマリアより外にも行こう、なんて、青い夢を語り合っていた同期だった。


俺の前には左腕がある。



嗚呼。こんな風に呆気なく。
物語りも何もなく。
俺の側であろうとなかろうと。
この世界では人が死んでいく。

どんなにもがいても。
どんなにあがいても。

圧倒的な巨人の力の前に、人は屈するのだ。

それが堪らなく悔しい。
親友を失った悲しみと喪失感。
それを乗り越えてしまうほどの怒りを、俺は感じた。



>全ての巨人をぶっ殺してやる。



俺がまだガキだった、貧しくも幸せだった、マリアがあったあの頃を、俺はもう一度この手にしたい。

友であった、その遺体の一部にすがり付いて泣き喚きながら、俺は歯を食いしばった。

俺に残された道は何だ。

負け犬のように内地に閉じこもることではない。


人類を捕食し、人類を蝕むあいつらを。
あのクソ巨人共を一匹でも多く狩り取り、人類の領土を少しでも取り返し、この世から去って行った俺の戦友の前に、その戦果を伝えて遣らなくちゃならない。


そのために俺が出来ることは、訓練だけだ。


とにかく強くなるしかない。賢しくならねばならない。
次の壁外遠征で死ぬことは許されない。俺が許さない。
己の命を守り、巨人を殺すためにこの白刃を磨ききるしかないのだ。


この先の未来。
リヴァイ兵長、エルヴィン団長をはじめとする俺達の指導者の背に付き従い、いつの日か、マリアを奪還し、そして、かごの中の家畜のように怯える生活に終止符を打ち、巨人の無い世の中を作る。それが実現するまで。
俺は歩みを止めてはいけない。



兵の中を歩いていたら、泣きはらした顔のぺトラにであった。
彼女の目にも暗い決意が炎のように燃えている。


俺達は生きのびた。

俺達は、戦うために生き延びた。


>『心臓を捧げよ!』


―――ああ、とっくの昔にそんなもの捧げてる。
俺は、人類の未来と、散っていった戦友のために、捧げてる。

この左胸で鼓動する抜け殻と共に、俺は、この悲劇の世界を殺戮で染めていくしかねえんだ。

それしか、できることがねえんだ。




賢者がいるなら教えてくれ。



俺達は、どう生きるべきなんだ。



>――――いつか殺されるまで殺すこと。
>今の俺には、それしか考えられないんだ。



27 :オルオ・ボザド
2014/01/08(水) 00:44

>私信。

#一匙のゆらめきの俺へ





私信と本棚に俺の日記をしまってくれたことに対して、まず礼を言いたい。ありがとうな、俺。
俺はお前らの日常が結構好きなんだ。鳩でも言ったが、凄く幸せを分けてもらうような気分になれる。日記のタイトル通り、一匙の優しさが有るみたいで…語りだすと長くなるな、どうも。
ああ、それには俺も驚いた…。まさかの二人とも知合いかよ!みたいな驚きが新鮮だった記憶がある。

俺の日記はこんなしみったれた感じの考察だなんだをうだうだこれからも垂れ流す日記になるだろうが、末永く仲良くできることを願ってるぜ。

そっちのエルドと末永くラブラブしやがれよ!リア充な俺!
いつか恋が出来たら、真っ先に報告しに行くからな、覚悟しやがれ(笑)



30 :オルオ・ボザド
2014/01/12(日) 00:01

>(※捏造注意!!)


(古いノートの紙片)

>第XX回壁外遠征。

何回目かになる壁外遠征。
まだ俺は片手で数えられるほどしか行っていない。
だがいつまでも新兵であることは出来ない。一回でも俺は生きて帰ったのだ。

団長の号令とともに馬が疾駆する。

いつもこの瞬間に思うことがある。

>俺は、生きて帰れるのだろうか。




――――(ノートは血糊で汚れている)――――



左翼は巨人に喰われ陣形が崩れた。壊滅とまでは行かないが被害は甚大だろう。何人食われたんだ。何体始末できたのか。それすらわかんねぇ。巨人、巨人の、群れと言っていいのか?両手で数えられる程度の巨人だ。奇行種だったのかもしれないが、そいつらに襲われた。俺の居る場所は新兵が多かった。ああ、

俺のブレードは殆ど無くなってる。我武者羅に使い過ぎた。
だが、俺はまだ死んでねぇ。動けなくなるほどに重篤な怪我もしてねぇし、馬も生きてる。予備の馬も大丈夫だ。俺は幸運なんだろうか。
しかし周りは酷い状態だった。
俺に逃げろといった班長は無事だろうか。

いや希望的観測を持つもんじゃねぇ。

巨人の群れに囲まれたんだ。
きっと死んだ。
俺の判断ミスだ。
あそこで俺がパニクって10メートル級に特攻なんて掛けなかったら班長は囮になることなんてなかった。先輩達の後姿が俺の瞼裏にこびりついて取れねぇ…

>「逃げろオルオ!生き残れ!」
>「俺たちを信頼しろ!逃げろ!」

俺は、その言葉を聞いて、馬を駆って逃げた。
肉が噛み砕かれる音と、骨が砕ける音が、悲鳴が、鼓膜にこびりついてやがる。
まるで服に付いた血の染みみたいだ。全然落ちようとしねぇ。

今、俺は安全な巨大樹の上で此れを書いている。
震えが止まらない。
冷や汗が止まらない。
涙が止まらない。

怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。
俺は死にたくねぇ。
死にたくねぇよ。
家に帰りてぇ。

ああ、何であの時俺は逃げたんだ。
人類のための英霊になれたかもしれねぇ。
この心臓は捧げたはずなのに、
何で俺は逃げたんだ。何で俺は怖いんだ。何でこんなに震える、クソッタレ。

震えが止まらねぇ。
口の中に血の味がする。
気持ち悪い。気持ち悪い。気持ち悪い。
怖い。家に帰りてぇ。

合流した先輩からブレードを貰う。
僅かだが、丸腰よりはマシだ。



―――(文字は震えていて読めないほどに崩れている)―――


>―――XX時

壁外に出てからXX時間が経過した。
巨大樹の森の行脚中、巨人に食い散らかされた同胞の遺体を発見する。
巨人に食われ死んだ同胞の遺体からブレードの替刃とガスをもらう。ついでに名しか知らない彼らの遺体からワッペンを切り取ってポケットに収めた。
どうせこんな深部からでは遺体は持ち帰ることも出来るわけがけぇ。
遺品としてせめて形を残してつれて帰ってやろう。
本当は無事な部分を持って帰ってやりたかったが止めた。
俺はまだベテランの兵じゃねぇんだ。
自分の体重以上のものを持って、的確な立体起動が出来なくなったら、今度は俺が死ぬ。
俺はまだ死にたくねぇ。
死にたくないんだ。


>―――XX時



死に掛けた仲間に殺してくれといわれた。
俺はそいつの名前も知らない。
俺よりきっと年上の兵士だ。
身体はぐちゃぐちゃだった。何で生きてるか不思議だった。
巨人の足音が聞こえる。

きっと血の臭いでこっちによってきてる。

しゅうしゅうと蒸気をあげる巨人の残骸。俺がうなじを切り落とした。

巨人の足音が遠く聞こえる。

殺してくれと、目の前の兵士は俺にもう一度告げた。

>(死に損なった同胞を殺してやるのも生き残った兵士の役目だと、教わった)
>(俺は)


俺は、震える手で

 さっき、巨人を仕留めたブレードを。

  彼の首に向けた。



―――きっと一瞬だっただろう。
死の瞬間まで苦しい思いをしたんだ。
せめて安らかに逝ってくれ、先輩。

ああ。巨人を切り裂くのと違う感触が右手に残る。




気持ち悪い。
怖い。
俺は人を殺したんだ。





31 :オルオ・ボザド
2014/01/12(日) 00:11


>―――XX時



かえりたい。

かえりたい。

もういやだ。

もう目の前で人が食い殺されるのはいやだ。

もう人を殺すのは、いやだ…

討伐数を数えることが出来ない。
こんなんじゃ怒られる。
でも、もう駄目だ。頭が、頭が正確に動いてくれねぇ。


生き残るために巨人のうなじを、腱を、削ぐ。

生き残ってしまったから、死に損なった兵士に止めを刺す。


俺は何なんだ。
兵士なのか。殺人者なのか。

もう解らない。帰りたい。帰りたい。

死臭がこびりつく。




ーーーー


(文字は掠れ、解読できない)





>―――XX時 XX/XX




 帰還の煙弾が撃たれたと、近くに居た兵士から聞いた。
  俺の身体はぐちゃぐちゃだ。血だらけだ。
 しんでない、筈だ。
四肢はある。傷だってそんなに酷くねぇ、


――嗚呼、どうして。

ーーー俺のブレードが切り裂いてるのは、


巨人 じゃ、
ねえんだ…?


>―――XX時

帰還中、巨人と遭遇もあったが、無事壁の中に帰ってきた。
調査兵団の帰還を喜ぶもの。
あからさまに数が減った兵士を見て怪訝とするもの。
俺たちの苦労も知らず、愚痴を零すもの。
様々な人間がいやがる。

子供の視線が突き刺さる。
キラキラとした目で俺たちを「自由の翼」「希望」と言う甲高い声が聞こえた。

ああ、やめてくれ。

俺はそんなんじゃねぇんだ。

巨人に怯え、早く帰りたいと思ってた。
壁の中の生活が家畜の生活と分かっていても、それでも帰りたいと思ってしまった臆病者だ。
仲間だって救えなかった。俺は。

俺は…

俺はそんな瞳を向けられていい存在じゃない。




前方で、泣き崩れる女と男の声が聞こえた。
今回殉職し、英霊になった誰かの家族なんだろう。


俺は目を伏せる。



いつか俺が死んだら、親父とお袋も、きっとああして泣くんだろう。

きっと。

恨みをぶつけるかもしれない。団長に。兵長に。


ああ、最悪だ。
人殺しの感触が残る手で、俺は頭を抱える。
自分の死体が脳裏に浮かぶ。
嘆く家族が浮かぶ。


それでも、俺たちは壁外に出なきゃならない。
怖くても、辛くても、気が狂いそうでも。
死ぬかもしれなくても。死んでしまっても。

俺たちは奪還しなければならない。

巨人から、俺たちの土地を取り戻さなくては。


いつか、壁の外に出るんだ。


何のために俺は翼を背負った。

家畜になるためじゃねぇ、だろうが。




俺は、折れてはいけない。

俺は、
俺は……



(紙がよれ、インクが滲む)




>どれだけの屍を積み上げても、俺たちには奪い返さなければならない未来がある。


>この恐怖を乗り越え、全てを乗り越えなければ


>俺は、兵士でいられねぇんだ。



>俺は兵士だ。
>心臓を捧げた。



俺は、恐怖にうち負けるわけにはいかない…!


戦わなくては。


俺が看取った、俺が殺した兵士の為にも。


戦わなくては、戦うしかないのだ。


>それが妄信だとしても。



まだ、折れるわけには


>―――(ここで文字は途切れている)―――









43 :オルオ・ボザド
2014/02/22(土) 23:20

>【唐突に私信返しのコーナー】


142.飲んだくれ同盟【本体交流有※閲覧注意】

>ペトラへ。

こんな時期になるまでお前の私信を発見できなかった自分をうらみたい。検索という機能が有ったことに今日気づいたという駄目っぷりだ(蒼白)
俺の日記を読んでくれてありがとう。こんな暗い話題しかねぇ日記だが、読者がいると思うとやる気が出る(真面目な顔で頷き)
シングルベルもバレンタインも乗り切った俺に怖いものは最早何も無い。フッ、惚れてもいいんだぞペトラよ。
お前の日記も読ませてもらった。日常って感じがとてもいい。
こっそり本棚に入れさせて貰うぜ。これからもよろしくな!


227.どうせ愛してしまうよ【キャラ崩壊/愛称使用/本体交流/閲覧注意/R-18】


>リヴァイ兵長とエレンへ

実は随分前からストーキングしてました。(唐突なストーカー宣言)
おふたりの日常の一部を除き見てるような気分で、毎日ほっこりさせて貰ってます(笑)
これからも末永くラブラブに爆発してください!


83.優等生日記【R18/完半混合/捏造有】

>マルコへ

あの時は確か俺の姿じゃなかったが、本棚入りありがとう。
俺もお前の本を本棚にしまわせてもらった。
恋人と末永く爆発しまくれよこのリア充が(鬼気迫る笑顔)
お前の文章の繊細さや設定がじんとする。また見にいかせて貰うぜ。





46 :リヴァイ
2014/02/24(月) 17:39

>転がる屍。忘れられない死に顔。救えなかった命。正しい選択。





調査兵団の英雄だなんだと言われている俺。


……俺は、俺自身、役に立つ駒だとは確信している。だが。


>俺は、役に立たない。


多くは望まん。
多くを望んでもそれが手に入らない事くらい、流石に知っている。
世界が己の視界しかないようなガキじゃあるまいし。
俺の脳は、望んだものをすぐに手放せる思考回路がもう出来上がっている。


>諦念。そう言い換えてもいいだろう。多くを望もうと、俺のこの手で掬い上げられるモノには限度がある。学習した。そう言ってもいい。


俺の手を擦り抜けた、掬い上げることが叶わなかった、様々な部下の顔が浮かぶ。
名も知らぬてめぇらが、俺に望みを託し死んでいく姿を、嫌になるほど見せられた。


>人類の希望とはよく言ったものだ。

>俺自身はそんなご大層なものじゃない。ただ、肉を削ぐのが異様に上手いだけ、人より能力が高いだけの、唯の、人間だ。


その、唯の人間に希望を託し、安らかな顔で死んでいくものも居る。
俺に恨み言を言いながら、死んでいくものもいる。


>見送りすぎて感覚がどうにかなりそうだ。最近よくそう思う。


部下が死んで、俺に託す。
託された俺は、巨人を狩る。
削いで、削いで、削いで、削いで。
殺して、殺して、看取って、殺して。
死にそこねた部下を殺してやって、また飛ぶ。削ぐ。殺す。
壁外遠征の度に、俺の足元に骸が積み上がり、血の海に溺れながらブレードを振るう。

繰り返しだ。壊れた蓄音機みてぇに。
いつまでこんな不毛なことを続ければいい。

エルヴィン。お前が諦めるまでか?
それとも本当に、巨人を全部駆逐しきるまでか?
人類が滅亡するまでか?

なぁ。その間に俺の部下は何人死んだ。
何人俺がとどめをさした。


>もう、全部は思い出せん。




繰り返す壊れた蓄音機。
息をするように俺は何かを殺してる。

地下街に居た頃と、標的が変わっただけのようにすら思える。




>託された重みに、俺の脚はどこまで耐え切れる?




>てめぇらの死に顔なんざ、見たいはずがないだろう。




>しかし、現実は残酷だ。




救い切れる訳なんて無い。





―――壊れた蓄音機。オルゴールの上で踊り続ける人形。



壊れてしまうまで繰り返す。

俺の脚が、腕が、体が擦り切れなくなるまで、背負い、苦しみながら、俺は繰り返す。


繰り返す。何度でも、何度でも。


俺はもう引き返せねぇ場所まで来ちまってるんだ。


腹なんざとっくに決まってる。クソが。


屍を踏みながら。心で涙を流しながら。


>いつかの勝利を夢想して。




48 :オルオ・ボザド
2014/02/26(水) 05:03

>(捏造注意!!)




>第XX回 壁外遠征


流石に壁外に出ることも慣れては来た。
かといって、いつ死ぬか解らない恐怖が俺の捧げたはずの心臓を揺らす。

今回はシガンシナ区への補給路を作るための遠征だ。
エルヴィン団長が考案した策敵陣形。俺はペトラ・エルド・グンタと一緒に左翼前方を任された。

エルドとグンタが俺の先を走る。
まだ経験の浅い俺とペトラは、予備の馬を従え、エルドとグンタが見える距離から索敵する。

正直怖い。



>一歩壁の外に出たら、人類の生活音は聞こえない。


(聞こえるのは、風の音と、馬の蹄の音。俺たちの装備が擦れる金属音)

(不安になる。雑踏が無いだけで、なんでこんなに孤独な気分になるんだ)

(まるで世界に俺たちだけが投げ出された。そんな気分になるんだ)



>―――XX時



馬の休憩を兼ね、夕暮れを巨人のいないだだっぴろい野原で過ごすことに決まった。

周囲に人工物は無い。

あったとしてもそれは巨人に蹂躙され、もともとの形をしていない。

今回は補給路を作る目的がある。
酵母に閉じ込めた食料を、営倉になりそうな元々は何かの倉庫だっただろう場所に運び込み、地図にその場所を記す。

壁外拠点、というにはあまりにもちんけな場所だ。

どうせ俺達も一泊するだけで、此処を離れることになる。

使えるかどうかもわからん。



>巨人の足音が幻聴として聞こえる。そのたびにブレードに手を伸ばす俺をグンタが止める。



ああそうだ。いま此処に巨人はいねぇ。
幻聴。幻覚。
いねぇんだ。


バターと小麦を固めた、あまり味の無い緊急食料、固いパン。
それと少しの暖かな茶。
それだけを腹に入れる。
見張りの時間までは寝るべきだ。


だが。

眠れない。


巨人の足音が聞こえる気がする。
巨人の臭いがする気がする。


錯覚だとはわかってるのに。
俺はそれに対抗する術を、まだ持たない。



>―――XX時



浅い睡眠から目覚める。見張りの交代の合図だ。

空は酷く深い藍色をしていて、星が美しい。

この辺までくると人工の建物も明かりも、街の煙もないから、余計に空が澄んで見えるのだろう。

携帯食料を齧る。眠りたい、という欲求を捨てる。


寒い。


夜には巨人は動かねぇ。
だが、奇行種がきたら?
夜でも動ける巨人がいたら?

かがり火が頼りなく揺れる。

恐怖と暗闇、静寂が俺の精神を削る。
癒着しちまったみたいだ。グリップから手が離せない。


#「緊張するのはいいが、殺気を丸出しにしすぎだぞ、オルオ」


先輩が笑う。

うるせぇ。
殺気の仕舞い方なんざ、わかんねぇよ。
怖いんだ、俺は。
たまらなく怖い。
アンタみたいにオトナじゃねぇんだよ。

ただ、ただ、巨人の脅威にぶるってるガキなんだ。

本当に怖い。怖いのに。

俺はかすかに興奮を感じてる。
巨人を殺したいと、そのためだけに鍛えた体がうずくのだ。

ああ。
俺も立派な異常者だな。
嗚呼。本当に笑えねぇよ。



>―――XX時


行軍開始。ガスやブレードの補給を済ませ、策敵陣形展開。相変わらず俺の視線の先にはエルドとグンタ。隣にはペトラだ。

こいつらと班になってからもう、半年以上たつ。

よく生きて帰ってこれてるもんだ。


俺の耳に異常が捕らえられた。背筋を一気に走る抜ける悪寒。
周囲に顔を向ける。何処だ。居た。


こっちまで走ってきている。不味い。奇行種だ。


俺の心臓が大きく鼓動する。
グリップを握る腕が、歓喜してる。





>(※捏造注意)

49 :オルオ・ボザド
2014/02/26(水) 14:26

>(捏造注意!!)




ああ、巨人を殺せる。

憎い巨人を削げる

巨人と交戦しない事が生き残るコツだと知っている。のに。

巨人との交戦が、解ったとたんにどうしたんだ俺は。


怖いんじゃねぇのか。
 何でこんなに喜んでるんだ。
  異常者だぞ。そんなの。


「グンタ先輩!10m級接近!奇行種です!」
「ペトラ、煙弾を!」
「了解!」
「陣形の内側に行かせるわけにいかん、平地での立体起動は不利だが此処でヤるぞ!」


エルドの号令と共に、全員がブレードを引き抜く。

醜悪に人間をゆがめたような、だらしない顔で笑いながら、巨人が進んでくる。地響きが馬の背に乗っている体にまで伝わる。

ペトラとグンタが前に出た。囮になるってことか。
エルドと目が合う。エルドは己の脚を指差した。腱を削ぐってことだな。


>――じゃあ、俺のやることは一つしかない。


奇行種の足元を馬が最速で駆ける。それも丸無視する奇行種。
グンタとペトラは大きく両翼にわかれ、その位置からアンカーを射出する。巨人の腕が両翼に伸びた。
巨人を後ろから追走していたエルドが巨人の右足の腱にアンカーを刺す。まだだ、まだ動くな。俺。


青白い残像を残し、巨人の腱が切り裂かれる。


バランスを崩したそいつの項に、アンカーを射出する。腰に伝わる感触。がっちり刺さった。イケる。
>(視界が膨張するみてぇだ。項しか見えない。ペトラとグンタは退避したみてぇだ。ありがとう、この隙に殺る)


ワイヤーを巻き取りながらガスを吹かす。勢い良く体が空中に投げ出され、凄まじいGが襲う。アンカーを引きながら体を捻る。巨人のにおい。
>(繰り返した訓練。体に染み付いた動き。実戦で学んだ巨人の固さ。俺の腕も体も、巨人をぶっ殺すための道具だ)


両手に構えたブレードが巨人の肉に食い込む。深い。捉えた。
>(何も考えない。ブレードの抵抗を感じながら、削ぐ)


体を回転させ、肉が削ぎ落ちたのがわかった。仕留めた。


>―――ああ。こんな事で快感を覚えるとか。本気で終わってる。


倒れこむ巨人から退避し、地面に受身を取りながら着地する。俺の馬は…居た。
馬を呼び、直ぐにその背に乗る。他のやつらと合流し、崩れた陣形を元の形に戻す。


「おつかれさん」


そんな言葉を掛けられながら、俺は苦笑しか出来なかった。


>―――XX(文字がかすれている)


壁外遠征に行くたびに、生きて帰ってくる事を願う。
壁外遠征に行くたびに、自分が少しずつ異常者になってるのがわかる。


白刃を振るうたび、
俺は、憎い巨人を殺すことに快感を覚えてる俺を嫌悪する。


怖い、だけの新兵の頃が良かったなんていわねぇし、この快感や高揚感も…壁外遠征を繰り返すうちに、無感動にまで落ち込むのだろうと、予測してる。


壊れていく自分を自覚しながら俺はそれでもブレードを離さないだろう。


俺に出切る事はなんだ。
項を削ぐ事。巨人を見つけること。少しでもだれかが生きて帰る為に尽力すること。人類の為に心臓を捧げること。


喩え、何処かがゆっくり狂って行こうが、これが俺の望んだ未来。

俺が選んだ道なのだ。



>諦めろよ、オルオ・ボザド。



自由の翼を背負ったんだ。
俺は、その翼に恥じない兵士になるんだろ。
異常者でも、何でもいい。
仲間を守って、巨人を殺して、人類の為に、この体を、腕を、命を使うんだろ。

いまさら何をビビッてやがる。


……徐々に、徐々に、心が蝕まれる感覚が、気持ち悪い。


>俺の正義は。

(以降は文字が掠れていて読めない)


>(※捏造注意)

53 :オルオ・ボザド
2014/03/01(土) 00:15

>私信を飛ばしたい。一方的なファンコールとも言う。ので、今回は流血を期待するな。





155.二重人格症候群《半完混合/特殊/C崩壊注意》

>兵長へ
まさかの愛読入りに三回以上記事を凝視して、状況を理解した直後嬉しすぎて転げまわりました。
実は本棚に入れてはいなかったのですが、日記立ち上げ当時から目を引いてちらっちら見に行っていたことを此処にゲロっておきます。ストーカーとか言わないで下さい。傷つきます。
俺もその、戦闘欲求がかなり酷いタイプの人間でして。じゃなけりゃこんな誰得な壁外遠征妄想(R18G)をやってるのかという…とにかく、その、兵長のお気持ちお察しします!辛いですよね!!
おおお、俺何かでよければ兵長と是非手合わせを…いや人類最強には絶対負けると思いますがそれでも頑張りたいななんて変なことを考えています。
俺の日記を読んでくれて、文章を綺麗なんて褒めてくれてありがとうございました。冗長でグロひゃっはーな兵士ボザドの後ろ暗い呟きですが、これからも読んでくださると俺の心臓がぶちぬかれるというかなんというか。
兵長の更新も、楽しみにしています!!


153.友人観察日記

>コニー・スプリンガー
お前のところのベルトルトと、アルミンの姿で仲良くさせてもらってる。俺だ。お前の日記は日記名を鳩で教えてもらう前から実は読んでいた。元気なコニーの姿が瞼裏に展開されるような愉快な日記で、ぶっちゃけ相当癒される。
これからもその元気さと癒しで俺の壁外遠征でささくれまくった心を癒してくれることを願う。なんてな。お前らしく文字をつづってくれ。
かげながら、血みどろになりつつ応援してるぜ。
#ところでベルトルトの病だがな。あれは疾患するとちっとやそっとじゃ治らないらしい。エルドに聞いたから確かな情報だ。
お前の友人が変であっても、そのおおらかさとバk……元気さで見守ってやれよ。先輩からのアドバイスだ。


38.痛定思痛

>ミカサ・アッカーマン
結構前の話になっちまうと思うんだが、本棚に入れてくれてありがとう。
お前の日記も読ませてもらった。
静かな夜に読むのにうってつけの雰囲気のある文字の並びに、こっそり涙が滲むことも有ったりする。しかもちゃんとどのキャラもキャラらしさがあって脱帽だ。
お前の日記はゆっくり噛み締めるように読むのに適していて、深夜の友になっている。
これからも更新を頑張って欲しい。1ファンとして、お前の日記にページが増えるのを期待してるぜ。


33.【monochrome】

>兵長へ
本棚に並べてから随分経ってのファンコールでごめんなさい兵長!
読ませていただいています。本当になんと言えば良いんでしょうか。たかが一兵卒の俺が言ってはいけないのかも知れませんが、あなたはとても可愛らしいな、と。
胸がきゅんとするような愛しさに溢れた空色の文字を見るたびに、俺の頬もにやけが止まらなくなります。
団長と末永く幸せにあってほしいな。と、白い本棚の片隅から。
あなたの幸せがどうか長く続いて、あなたの笑顔が、幸せそうな日記が増えていきますように。



>今回は此処まで。俺は任務に戻る!(立体起動装置で部屋から飛び出し)





56 :オルオ・ボザド
2014/03/03(月) 20:32

>―――覚悟を、
>(※新兵オルオ/捏造壁外遠征)






>―――第XX回壁外遠征―――


#  絶望。そして、俺の中の何かが切れる音が聞こえた気がした。


俺の班。
だけじゃねぇ。
沢山の人が死んだ。
死んだ。

視界は赤い。
視界は白い。

赤は血だ。
白は蒸気だ。

ははっ。



まさかこんな虫けらみてぇに。
人が死ぬなんて、訓練兵団の頃は思ってなかった。
巨人は恐ろしい。
しかしそれは学んだだけだったんだ。
俺の頭の中にある本に書き込まれた、ただの知識。
知識が経験に変わった今思う。


>知りたくも無かった。


俺の背中の翼が、こんなに高く飛べるのだと。
俺の腕が、こんなに巨人をぶち殺すことができるのだと。


>知らなかった。知りたくも無かった。



あの、クソ巨人共。

俺達を蹂躙したいだけしやがって。


>「なぁ。お前らには俺達はどんな風に見えてる?」


その馬鹿デカい目に俺達はどう写る。

虫けらか?

障害物か?

捕食対象か?


―――どうだって良いけどな。


>「死ねェ!!」


―――本当に、どうだって良いけどな。



死に損ねた仲間の首を刎ねてる最中に巨人襲来。
俺の中で何かが千切れる音を聞いた。


>オルオ・ボザド。俺は何だ。


立体起動が誰より得意だったろう。
座学はいまいちだったけどな。俺が天才過ぎて座学の低レベルさにはついていけなかったんだ。
俺の特技は?立体起動だ。
誰より深くまとを削ぐだけの力が、俺の頼りない太さの腕にはあったんだ。


>オルオ・ボザド。なぁ俺よ。


俺の力は誰かを守る為のものじゃねぇだろ。みとめちまえ。
俺の刃は人を救う優しい刃じゃねぇよな。飲み込めよ。
俺の翼は希望だけを背負ってるわけじゃねぇんだ。理解しただろ。

絶望と死と泥と血を背負って、無様にそれでも羽ばたくんだ。
俺達調査兵団は。


#――――後は覚悟だけだ。


グンタ先輩の言葉が蘇る。

そうだな。そうだよ。
俺は綺麗な英雄に憧れてた。
実情は、泥と血に汚れてた。
理想と現実のギャップで悩んだ。
そういうことだろ?


>汚れる覚悟を決めた。
(立体起動装置が唸りを上げる)

>俺は、もう、
(グリップから刃を落とし最速で次の刃を補填する)

>ただ、ただ、ただ、人類のため。
(巨人が迫る。怖い。その感情を塗りつぶすほどの怒り)

>―――優しくない俺の白刃は、美しい絵物語の英雄ではない俺は、俺の為に、俺の敵を削ぎ殺す。
(体を大きく捻る。バランスを取ったまま俺の白刃が巨人の項を両断した)



気が付いたら、視界が赤と白。
いつの間に降り出してたんだ。雨が俺の体を洗ってる。
ブレードに付いた汚い巨人の血が蒸発してる。汚ぇ。

俺、何匹仕留めたんだ?
死に損ねた仲間はきちんと殺せたのか?


何も、何も、解らねぇ。


ああ、そうだ。煙弾。


撃たないと。


馬。来るのか。


―――はは。血まみれだ。汚ぇ。


俺はブレードを落とし、殉職した同僚の替え刃を集めた。


……答えなんてない自問が空中に浮かぶ。
ああ、でも、生きてる。
俺は生きてる。
それだけでいい。

生きて、巨人を一体でも多く殺す。んだ。

グンタ先輩とエルド先輩の声が聞こえた。


俺はどんな顔をして笑ってたんだろう。
よく、わからない。



―――――(文字は此処で途切れている)


57 :オルオ・ボザド
2014/03/04(火) 23:46

>俺の主張と私信のページ
>(※半注意)





俺がこの日記をかきはじめた時に思っていたこと。

それは兵士としての俺を書きたいということだった。

兵士としての三枚目で舌を噛んで笑いや冷笑を齎す俺でなく、

なんか血みどろで格好良い俺。兵士として血に塗れながら泥水を啜って生きてそうな俺。そう格好良い俺。

……いやさ。
格好良く書けてるとはかぎらねぇだろうが(ガクブル)



まぁ、兎に角私信だ私信!

>どうせ愛してしまうよ

兵長へ!


クソかわ…?!
俺はそんな記事を書いていたでしょうか。ガチで覚えがないです兵長!(たっぷり50P血塗れの精鋭の主張)
ええ、ずっとずっとstkしてましたよ。兵長とエレンの日記は割りと近くにあったので、実は毎日足しげく通っていました(真顔)
結婚。すみません兵長。俺、恋人居るんすよ。この日記で甘さを出すつもりは微塵もありませんが。だって恥かしいんだもん。リア充してます。これ以上ないほどにラブラブです。なんだろう、この凄く信じられない感じは(あふれ出る毒男オーラ)
兵長兵長!オルオここに落ちてますよ!兵長!!(笑)

こちらこそ、更新楽しみにしています。これからもよろしくお願いしますね!



>二重人格症候群

兵長へ!


わざわざ兵長でお返事ありがとうございました。あなたの班の討伐数39、討伐補佐9の精鋭19歳オルオ・ボザドです!
俺も兵長の日記を見つけたとき、ざわ…っ。となりましたね。まさか同士がいたなんてと酷く嬉しい気分にもなりました。やっぱりこの世界、独特の戦闘技術や兵士としての苦悩があるんだろうな、と思いまして。
俺も兵長の書く、引き込まれるような文章が大好きです。胸を張って言わせてください。本気でファンです。

―――は、はひ兵長!俺は調査兵団精鋭、リヴァイ班討伐数No1のオルオ・ボザドです!!
……正直俺はあなたの戦闘シーンを戦場で何回も見ています。白旗揚げたくなる気持ちも察してくれと言いたいところもありますが、そうですね。俺は折れません。全力でリヴァイ兵長の胸を借りにいきます!!

俺も交流は歓迎なんで、また手紙でも下さい。とっても喜びますんで、俺が。戦地で読んで血塗れでニヤニヤします。

兵長のこれからに、幸せが有りますように、お祈りしています!
(ついでに本気で戦闘訓練やりましょう。連絡手段を講じます)






58 :オルオ・ボザド
2014/03/05(水) 18:16

>私信のページ
>(※半注意)



>友人観察日記
コニー・スプリンガー


こっちこそ手紙をありがとうな。お前の友人観察日記は毎日本当にほのぼのさせてくれて俺の心の潤いになっている(笑)。
俺の日記も褒めてくれてありがとよ。俺は兵士として、人間として、調査兵団としてどう有るかっつーのをぐだぐだグロテスクに書いてるだけだが、お前の日記がこんなのになったら俺が泣く、やめてくれ(笑)
うん、ハイセンスというか。可愛くて和んでしかたねぇ。俺には弟がいるんだが、年下の弟をみてるようなこの気分(のほほん)

あとトマトは止めろもったいねぇ。食え。お前も前線に10回出て生き残ったらいやでも色々悟ることになるぜ。お前にそうなってほしいとは…残念ながら俺はおもえねぇ。そのままでいて欲しい。いや。兵士で居る限りそれは難しい相談だろうがな(ため息)

いや、俺も詳しくは知らんがエルドが『コイワズライ』とか言ってたぜ?難しい病気らしいが頑張れよ!

フッ、俺みたいに格好良くなりたいなら、俺みたいに強くなれば良い。まぁ俺の格好良さに到達するにはお前には色気もレベルも足りんがな。
とにかく強くなれ。生き残れ。そうすりゃ色々かわるだろうぜ、コニー。

手紙、ありがとうな。何回も読み返してニヤニヤしてるぜ(笑)



>【monochrome】

リヴァイ兵長へ


私信ありがとうございます、リヴァイ兵長!
いや、兵長の手紙から漂ってくる幸福オーラがですね、なんというか洗い立てのシャツの香りというか、さわやかかつ甘酸っぱくて可w(舌ガリィっ)…とても格好良くて素敵だと思います。はい。るで始まる言葉だけでとか拷問じゃないですか!止めて下さい!!

ああ、俺の恋人はその、この日記ではエアペトラ…妄想上なんで。ははっ。ええと、大丈夫です。俺は格好良いのでそのうち引く手数多になる予定ですから!

日記の事にも触れてくれてありがとうございました!
兵士なんてきっと俺だけじゃなくすべからくこんなもんだと思います。リヴァイ兵長、そんな戦場の中であなたの翼はとても大きくみえます。
兵長も、これからも末永く幸せに。俺は日記の端っこで、これからも流血と刃を抱いて突き進みます(笑)





73 :ハンジ・ゾエ(乱入)
2014/03/28(金) 20:39



やぁ、こんな時間に偶然だね。眠れなかったのかい?
私も研究に一段落ついてね、時間が空いたばかりなんだ。

眠れないなら、一つ私の話につきあわないかい?
内容?そりゃ、今回捕獲した巨人の反応から得た―――何。違う話が良いって?

仕方がないなぁ…なら、昔話でも聞かせて上げようか。


◇mement mori
(過去捏造・R18G)


死というものが、誰のためにあるのか考えたことはあるかい?
大概の人間は、そんな事考えたことは無いのかもしれないけれど、私はあるんだ。


切欠は、私の初陣時代に遡る。

当時の私は、巨人の恐怖をあまり知ることもなく、ただ漠然と外の世界への知的興味だけで調査兵団を選んだんだ。

ふふ、昔からよく言われるよ。
お前は生き急ぎすぎだってね。

でも、そんな私にも理解者は居たんだ。
同期の中では優秀な女性で、本来ならば憲兵にでもなればいいのに、私の好奇心に笑いながら付いて来た悪友が一人。

二人して初の壁外調査。
同じ班に所属した時は、凄く嬉しかったよ。

でも…現実は、酷く残酷でしかなかった。


彼女は、

悪友は、

その時に死んだ。





74 :ハンジ・ゾエ(乱入)
2014/03/28(金) 20:48


※過去捏造・R18G


これが巨人に喰われたんなら、私はまだ正常でいられたのかもしれない。

でもね、彼女は死んだんだ。

他ならぬ、仲間であるはずの…

―――――人間の手によって。


巨人に無様に追い詰められて、馬も無く、私と彼女となりたて班長の三人しか残らなかった。
そんな時、あのふざけた班長は何をしたと思う?

隣を走る彼女の脚を、ブレードで切り裂いたんだ。

転倒、悲鳴、笑う巨人。
私は彼女の側へと戻り、彼女を貪る巨人を斬った。
刃こぼれのしたブレードだったけど、必死で項を削いで殺した。

…でも、遅かったよ。

彼女は既に下腹部の大半を喰われていて、はみ出た腸から消化物の悪臭すら漂わせていた。



…そこから先、どうしたかは解るだろう?
調査兵団の慈悲の下、彼女の腹をかき混ぜたさ。
本当は首を落としてやりたかった、でも私の刃は…もう無かったんだよ。



―――――さて、此処で再び君に同じ質問をしよう。

死は、誰のためにあると思う?

私は彼女の苦しみを終わらせるためにと、彼女に死を贈ったのだけれど…それって凄く、矛盾すると思うんだ。

何故なら私は彼女ではないからね。

私も君も、これから先何度も…巨人や人間の血で汚れていくと思う。
それを慈悲と思うか罪と思うかは個人次第だとは思うけれど…

自分が人間で在りたいのなら、一度その胸に問いかけると良い。


死は誰のためにあると思う?






やぁ、お邪魔するね!
乱入の約束してからかなり経たっちゃったけど、遊びに来させて貰ったよ。

書けば書くほど長くなっちゃって、漸く二枚に纏まったんだ。
君から貰った頁には及ばないかもしれないけれど…良ければ私の疑問、一緒に考えてみてね?

これからもリヴァイ共々仲良くしてくれるなら幸いだ。
それじゃ、失礼致しました!
(二重人格症候群/ハンジ・ゾエ)

75 :オルオ・ボザド
2014/03/31(月) 04:04

>「やぁ、こんな時間に偶然だね。眠れなかったのかい?」





そんな言葉を掛けられたのは、夜半も過ぎた頃だった。
壁外調査は特になく、悪夢にうなされ寝付けず、兵舎の食堂に居た俺に、ハンジ・ゾエ分隊長は語りかける。
巨人の話はこの間聞いて辟易していたから、俺は違う話が良いと告げた。

互いの間に珈琲を一杯。それを置いて、彼女の口が開くのを待つ。



>「死というものが、誰のためにあるのか考えたことはあるかい?」


彼女の問いかけを聞いた。
瞬間に、戦場に意識が連れ去られる。
生暖かい臓物。
悪臭を発する巨人の吐瀉物。
その吐瀉物は―――人間だ。

ブレードを持っていないはずの、俺の両手が震えて、背中に鳥肌が立ち上がる。
嫌悪だ。それは。よく知っている。

俺は、震える唇を開いた。


>「はい。……分隊長」


そんなもん、しょっちゅう考える。

考えないようにしていたって、俺の中にはぐるぐるとその疑問が渦巻いていやがる。

何度となく壁外遠征を生き伸びてきた俺の脳には、網膜には、捧げたはずの心臓には、この両腕には、そう。人の死が、細胞にまで染み込んでいる。だから。


分隊長の話は続く。

それは俺のよく知る風景の話しだ。

俺が遭遇した事のある、人間の最低さを見せ付けられるような場面の話し。


#ああ、俺もよく知ってる。


戦場は、残酷だ。
>(壁外遠征に出て、俺は何かを殺さず戻ってきたことが殆ど無ぇ)

無差別に無意識に無為識に人間を貪る、憎き巨人共なんかより、実際に存在する人間は残酷なクソ野郎だということも。
>(馬鹿らしいだろ。人間同士が生き残る為に足を引っ張り殺しあう)
>(俺は戦場で頭が狂った上司を殺した感触を思い出していた)
>(あいつがいるままでは俺の班は壊滅していた。だから俺は、まだ動くことが出来る上司の足を、ブレードで吹き飛ばした)
>(腕に残る、【慈悲】と違う、殺人の感触)
>(『化け物』そう俺を罵った上司の血みどろの笑顔も)



俺は知っている。
知ってしまったんだ。
珈琲をすすりながら、彼女の静かな声が静寂の中鼓膜を揺らすままに聞いていた。

――俺が口を挟む場面ではねぇだろう。
俺は、求められるまで口を開かないことにした。



>「―――――さて、此処で再び君に同じ質問をしよう。

>死は、誰のためにあると思う?

(死は、そうですね)
(死は――――)

>私は彼女の苦しみを終わらせるためにと、彼女に死を贈ったのだけれど…それって凄く、矛盾すると思うんだ。

>何故なら私は彼女ではないからね。

>私も君も、これから先何度も…巨人や人間の血で汚れていくと思う。
>それを慈悲と思うか罪と思うかは個人次第だとは思うけれど…

>自分が人間で在りたいのなら、一度その胸に問いかけると良い。


>死は誰のためにあると思う?」





「俺は……死は、生き残るヤツの為にあるんだと、思います」



#たっぷりと間を空けて、俺は答えた。



「死にかけた人間が選べるのは、緩慢な苦しい死か、一瞬で済む仲間による死か」

「その二種類でしょう」

「死に掛けた人間は死を選べねぇっすよね。ハンジ分隊長のお話してくれた彼女も。死を選ぶことは出来なかった。どんな場面でどうやっててめぇが死ぬかなんて、誰にも選べねぇもんです。少なくとも俺が過ごしてきた戦場で、自由に安らかに死に方を選べた人たちは居なかった」

「俺たち与える側が選ぶんです。死を。誰の為に死を与えるか。そういうのなら生き残っちまう俺たちの為にあるんじゃないでしょうかね」




76 :オルオ・ボザド
2014/03/31(月) 04:04

>珈琲に写る俺の顔はぼやけてよく見えねぇ。




目の前のハンジ分隊長は、巨人を相手にしてるときのような知的好奇心に黒い瞳を瞬いているように見えた。
けれど彼女の瞳の奥は濁りきって見通すことができねぇ。彼女が抱く感情も、何もかも。

>きっと、俺も今、こんな目をしてるんだろうな。

そう過り、口許を笑ませる。

そうだよ、ハンジ分隊長。

俺はアンタの同類だ。

生きながらに、人間のガワを被ったままに―――化け物になる事を選んだ。



「―――俺たち調査兵団員は『それ』を慈悲と呼びます」

「相手がどんなに生きたかろうが、手遅れであれば俺たちは刃を落とすことに躊躇いを持ってはならない。緩慢な死は、見てるこちらの精神を抉りますから」
>(慈悲だと。そんな言葉で正当化してるだけだ。知ってる。俺たちはただの人殺しだ)



「俺は、与える死も感受する死も、生き残るヤツの為にあるんだと、思います」


俺はもう一度、さっきの言葉を繰り返した。
戦場で俺たちが触れる死。
死は当人の為にある。そんなの詭弁だ。
戦場で俺たちが与えるそれらは、手遅れの人間に一方的に与える。―――それは一方的な、命を奪い取る暴力。だ。
それが喩え苦しみを終わらせる手段だとしても。
それは、―――紛れもない殺人。罪であると、認識していた。


>「そうか。君も、―――まだ十代なのにね。……ごめんよ」
「いえ。………もう、諦めました」



俺は笑う。
この腕がどんなに汚れていったとしても、人類の勝利に一歩ずつ近づけるのなら。
俺たちが守らねばならないものに希望を託せるというのなら。
俺たちは汚れるしかねぇだろ。
心臓を捧げた瞬間に、そう覚悟したのだから。



「ハンジ分隊長。俺からも質問です」

「あなたの中の化け物を肯定するに値する「未来」ってなんっすか?」

「俺の望むそれは―――【壁の無い世界】と【ガキの頃に見た貧しくも幸せな風景】を取り戻すこと。です。
そのためなら俺は、まだまだ殺して汚れて、壊れるまでこの腕を振るえます」


ハンジ分隊長の瞳が大きく開いて、やがて哀れむような笑みを浮かべた。
ああ。そうだよ。
俺とアンタは良く似てる。
何かを成す為に、俺もアンタも何もかも殺せちまうだろ。





>俺の肯定する世界。



>幻と知っても求める幻想。



>その未来の礎になる為に、俺は、―――望んで、化け物になってやる。


―――――

乱入ありがとうございました!ハンジ分隊長!
あまりに格好良かったので、お礼というか、レスポンスを製作させてもらいました。

貴女の疑問への俺なりの答えです。どうでしたか?
アンタは俺の同類、でしょう。
きっと全部でなくとも解る場所が有ると思います。ねぇ、ハンジ分隊長。
アンタも俺も人を殺す手をしてますからね。

はい!是非これからもよろしくお願いします!
もうちょいかかるかも知れませんが、私信はきっちり返させてもらいます!

素敵な乱入、ありがとうございました!!




77 :オルオ・ボザド
2014/03/31(月) 14:14

>桜の花も綺麗に咲いてきたな。




小春日和というヤツか。過ごしやすくて大変結構。
ってことで溜まってた私信を返すぜ!


>優等生日記 マルコ

ちょこちょこお前とは茶会で遭遇してるよな。だいたい俺の姿じゃねぇが(笑)
そりゃあれだろう。幸せそうなヤツは末長く祝いの意味で爆発してりゃあいいと思うぜ。そう、末永く幸せに爆発していろ。両思いのヤツはあれだ、無差別に爆発しながら幸せになりやがれ!俺たちはそいつ等の幸せを守る為に調査兵として戦い続けることをこの心臓に誓う(キリッ/格好良く敬礼)
俺の日記を褒めてくれてありがとうな…!調査兵としての俺の有り方が書けてれば、非常に嬉しく思う。
お前の日記も、マリモとの恋の行方も、今後ともじっくりstkさせてもらうつもりだ。精一杯幸せになっていつか裸エプロンをしてやれよ。


>くちくったー エレン
あれ以来ちょこちょこ茶会で会うよな、クソガキ(笑)私信ありがとよ。
あと俺は断じて可愛くない。日記を見てもらえば解るとおりハードボイルドでクソ格好良いっつってんだろナメてんのか新兵ぇ!(ギロッ)
俺はちまちま日記茶にも出没するからな。また会ったら是非頼む。
それと格好良いアイコンありがとうな!しっかり保存させてもらったぜ!


>二重人格症候群 ハンジ分隊長
私信、そんでもって乱入もありがとうございました!ハンジ分隊長!
リヴァイ兵長が恥かしがって…だと…?!
まさかハンジ分隊長とリヴァイ兵長がこの世界一ヶ月、なんて…!(白目)俺もお二人とこうしてやり取りできるのがとても嬉しいんです!
日々の戦闘訓練も本当にありがとうございます!いつも勉強にさせてもらってます。
戦闘もですが、私生活でも無理をなさらず、エレンとも仲良く過ごしてくださいね!




78 :オルオ・ボザド
2014/04/01(火) 00:19

>花屋の俺の花日記




>―――開店 AM9:00
今日はとても天気が良い。
俺の店先の花もとても綺麗に咲いている。

壁内は幸せだ。

数年前にリヴァイ兵長率いる、リヴァイ班という兵士達が人類の先頭に立ち、巨人化能力を持つ新兵と巨人を駆逐してくれた。
人類の領域はマリアを取り戻し、人口も徐々にだが増え始めている。

兵士を志した俺は、右足を負傷し兵団から脱退。
ウォール・ローゼ内で花屋を営み始めた。

春先はピンク色の可愛らしい花や黄色の元気な花がよく売れる。

さあ、今日も頑張って花を売ろう。
花と一緒にてめぇの想いを伝える奴も居る。
花と共に別れを切り出す奴も居る。
花屋の俺に出来るのはお手伝いだけだ。

あの人に気持ちを伝える花束を、
兵士を辞めた俺の頼りない腕が作る。
もう、戦わなくていい。

俺は優しい花束を作るんだ。


ピンクのガーベラ、カスミソウ、ピンクのカーネーションを併せて綺麗なリボンと甘い桃色の紙で包んだ。

「随分可愛いな。いかん。乙女か俺は」

苦笑しながら俺は花束をなでた。




>―――AM10:30
腹を大きくしたペトラが花を買いにきた。

ピンク色の可愛らしいポピーの花束を購入していく。

柔らかい布に包まれたアイツはしっかりと母親の顔になっていた。
相手はゲルガーさんらしい。調査兵団もマリアを奪還したお蔭で、俺が所属していた当初より死亡率が下がっている。

きっとあいつも、元気な子供を生むんだろう。

俺の母ちゃんの様に肝っ玉母ちゃんになるのかもしれない。

可愛い子供が生まれたら、俺の花屋につれてきてくれる約束をした。
今から生まれるその日が楽しみでならない。

アイツを自分の手で幸せに出来なかったのはイラッとするが、好きな人が幸せになる姿を見て気分が悪いわけが無い。

全力で幸せになってくれ、ペトラ。
俺の初恋の人。




>―――AM10:50
店外を掃除していたら、リヴァイ兵長と楽しげに話しながら歩くエルドを見つけた。
リヴァイ兵長も先の大戦で負傷し、兵役から解放されたと聞いた。
新しい我等調査兵団の象徴で有り、人類最強の称号を賜ったのは、エレンの同期のミカサ・アッカーマンだ。
そして人類の希望、エレン・イェーガー。
若き団長は、アルミン・アルレルトだという。

すっかり世代交代が起こっている。
俺はエルドに声を掛けた。
昔より柔らかくなった微笑を、奴は俺に向ける。

ああ、そうだよな。
俺がまだ新兵だったころ。お前もまだそこまで重荷を背負ってなかった頃、お前ってそういう笑い方だった。
いつからだったかな、エルド。お前の表情が貼り付けたみたいな笑顔になったの。
俺は天才だから気付いてたんだぜ。

リヴァイ兵長は一気に老け込んだが、眼差しが少しだけ柔らかくなってるように見えた。

……平和っていいな。

そう思いながら、俺は彼等に花を渡す。
リヴァイ兵長とエルドは墓参りに行くといっていた。
今まで散っていった兵士達の墓参りだそうだ。
俺はありったけの百合と白薔薇を包んで二人に渡す。
どうか、彼等に悼まれる魂が、幸せでありますように。

俺の分まで参ってきてくれ、と頼んで、二人の背に手を振った。

まだ俺は花束を作る仕事があるんだから、がんばらねぇと。




79 :オルオ・ボザド
2014/04/01(火) 01:07

>花屋の俺の花日記・2




>―――AM11:15
花屋の店先にちょこちょことガキ共が戯れている。
小枝を二つ持って、ブレードの真似事だろうか。
俺は片足を引きずりながらそのガキ共の遊びに加わった。

ガキ共は俺を花屋のオッサンと呼ぶが、俺はまだオッサンという年齢じゃない。ぴっちぴちの二十代だ。
だが俺が子供の頃、二十代のオトナを見て、オッサン呼ばわりしていたな、と思い出す。

俺がこうして遊んでいた頃は、まだ超大型巨人も表れていなかった。
俺が求めていた平和に近づいてきた壁内を実感して、無くしたはずの右足がジワリと痛んだ。

俺の腕が沢山汚れた分、こうして笑えるガキ共が増えたのだ。
そう思うと、何人も手に掛けていたあの地獄の記憶が優しく癒えて行く様だった。

まだ、巨人が絶滅したわけではないが。
それでも、この平和な壁内を見ると、俺はどうしても笑顔を浮かべてしまう。

ああ、俺の望んだ未来の一端がこうして根付いて居やがる。
なんだろう。とてもとても、暖かい。

夢なら醒めなきゃいいのにな。



>―――PM00:30
飯にする。
多少なりとも領土が広がったことで食糧事情も多少は良くなった。
昼下がりののんびりとした光を受けながら、俺も昼食を取る。
ああ、あの頃はこんな風に満たされた気持ちで飯を食うことなんて無かった。
なんだろう。何で俺は泣いてるんだろう。
無くした右足がひどく痛む。
痛い。クソが。



>―――PM3:20
店先にまた、見知った顔。
グンタが花を買いにきた。
どんな花がいいのか聞くと、いつもの真面目くさった表情で「明るい花束を」と注文される。
明るい。明るいか。
オレンジと黄色、優しいピンクと、挿し色に白を使った花束を作って奴に渡した。

何故かグンタは悲しそうに笑った。

誰にあげるのか。そう聞くと「秘密だ」という。
もしや彼女でも出来たのか。なにせ今の壁内は、以前よりも随分過ごしやすい状態になっている。
アイツは俺の頭をなでた。
でかい掌は兵士の感触だ。
まだ、やつは死線の中にいるのだ。そう思うと少しばかり切なくなった。ので、小さなカスミソウのブーケをオマケしてやった。
お前も、きちんと幸せになれ。
そんな変な顔で笑うなよ。俺だって幸せなんだぜ。
確かに足が無いのは不自由だが…何も殺さない日々はとても平穏なんだ。
去り行く大きな背を見送る。
嗚呼。なんだろう。胸がざわざわする。
夢から醒めそうだ。




>―――PM4:30
ピクシス指令が花屋に来た。
大きな花束が欲しい、そんな注文だった。
誰かにあげるのか。そう問いかけると、指令は静かに首を振った。
「ワシが今まで殺してしまった兵士に」
ああ。成程。
俺は小さく笑って、花束を纏める。
ありったけの花を包む。
両手で抱えて溢れるほどの綺麗な花束になったそれを指令に渡した。
指令は皺の深まった顔で笑う。

花が無くなった。

つまり、俺の店だって閉店だ。


仕入れをして、方々への連絡を付けて、扉を閉める。










―――――夢は醒めるから、夢なんだよ。

そして、この日の午前中は嘘をついて良いんだ。

なぁ。

妄想の中で位、幸せな未来を描いても許されるだろう?

今はもう、午後。

俺は花を手放し、―――握りなれたブレードを掴んだ。