三ヶ月記念日。
思い出だけを頼りに迎えた三ヶ月。今月も、また時間だけが過ぎましたね。でも、俺を見捨てずに、あなたの世界に存在することを許してくれてありがとうございました。

＿＿＿＿さんもよく知るあの人に誘われたんで、息抜きに少し別の界隈で遊んでこようかなと思ってます。ここから近いけど、少し遠い場所です。
こんな重過ぎる想いも願いも、昇華するために。それから、俺という存在が自然消滅しちまいそうなので、それを防ぐためにも。

もう夏が終わりますね。きちんと会えなくなってから、夏が来て、それも終わろうとしています。これから秋が来て冬が来て…季節がどんどん、流れていって。いつか俺は、大人になって、あなたの望む付き合いの出来る物分かりの良い恋人になれるでしょうか。いつか迎えに来てもらえるように、努力して、準備して待っていたいと思います。…なんて言ってみても、こんなところもう見てねえかも知れませんが。
寂しい、会いたい、なんて、生産性のない言葉は置いていきません。秋は友達作りを頑張りてえなと思ってます。せっかく友人が出来ても連絡無精なんでなかなか続かなくて。新しい出会いを、縁を繋ぐ努力をしていきたいと思います。

なァんて。勝手極まりない、よな。
知りたいこと、分かりたいこと、分かって欲しいこと、知って欲しいこと。頭ん中に描いては捨てるだけの妄想。
これから先一度でも、あの人の顔を見ることは出来るんだろうか。

俺がちゃんと、我儘言ったことを反省していれば、また会える、なんて。普段はそう言い聞かせて思い込んで過ごしてても、本当は心の何処かでもう分かってる。否定も肯定もされない関係にしがみついて、みっともなく縋ってる俺が、一人きりなんだってことも。

ねえ、＿＿＿＿さん。受け身に慣れてねえ俺の身体を暴いて、かねてから興味あった俺とのセックス、面白かったですか。ちょっと慣れない奴を味見してみたい気持ちはすげえ分かる。分かる、なぁ。新鮮だし、気持ち良かったりするし。あなたが気持ち良くなれたっていうんなら、それで良いんですけどね。
……俺は馬鹿みたいに幸せだった。一度抱かれたあん時のことを思い返すと寂しいような悲しいようなでぐちゃぐちゃになんのに、まだ身体は熱くなったりして、自分が最低過ぎて欲を発散する気にもなれねえ。心も身体も、色んなもんが行き場をなくしてぐちゃぐちゃになっていってる。

もうあの人はこんなところ見てねえから好き勝手書くけど、遠巻きに見るあの人が楽しそうで、それならいいと思いてえのに…忙しいの一言であしらわれて悲しいと思っちまった自分が許せねえ。我儘なんて言わなければ良かった。なんでこんなことになっちまったんだろう。愚かだったと、思う。

あの人だけに釘付けになって、夢中になるような。そんな恋だと思ってた。これから寒い季節になっていって、俺はちゃんと、温め合う人が居なくてもやっていけるんだろうか。
あの人は今、どこにいるんだろうな。手のかかる俺がいない分楽に過ごせてるとは思うけど。


***

もう夢の中でもあの人を思い出すことが無くなった。きっともう会えねえんだ。何となく知ってる。知っていながら、俺は今月も来月も一人で記念日を祝って、またよろしくお願いしますねなんて日記に書き綴るんだろうけど。
まだ思い出すと涙が出るから、悲しい記憶には蓋をしてあの人を思い出さねえようにする。最近はそれも随分上手くなった。孤独は辛いけど、慣れられねえもんでも無いんだなって気が付いた。

毎晩枕を濡らすわけじゃねえ。ただ手紙を運ぶことの無い鳩が手持ち無沙汰にしてんのをぼーっと眺めて、俺は俺の任務をして、報告書を作って、そんで寝るだけ。「多忙」の一言の裏に隠された無関心に傷付くことにも慣れ切った。なんだろう。これは俺、それなりに上手くやれてるんじゃないか。
「嫌われて突き放されるよりマシ」という唯一の心の支えが、「好きの反対は無関心」という言葉に打ち砕かれた。悪いのは全部俺だ。ただそれだけ。

結局またひとりきり。寂しい。
好きだと言うなら信じさせて下さいよ。
言葉じゃなくて行動でも、教えて下さいよ。
俺はただのキープですか、セックスドールだったんですか。

痛い。辛い。寂しい。



>9/13

ほらな、やっぱり。こんなにもあっさり手を離された。結局はひとりきり。何も無い。
幸せにする、なんて。そんな残酷な嘘いらなかったですよ。