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┗cynicism.

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1 :
04/16-08:18


(死に沈む、)

[][一括削][]

15 :
04/29-21:27

 世界が少しだけヤツに優しく在れば良いと思う。それは取り巻く環境だったり、気温だったり、思わぬ偶然であっても構わない。月を見上げて明日の夜を思う頃、俺はいつだってそう願った。

 そんなに報われない訳じゃあ、ないと思う。ヤツは自分を不幸だと泣いて喚くが、一歩引いて傍観者としてヤツを見据えれば、幸せの欠片はあちらこちらに落ちていた。それどころかヤツの周りにはいつだって手が差し伸べられていたし、ヤツの為に泣くことの出来る奴だっていた。
 それに気づかないのはヤツの謂わば『盲目性』というもので、泣くばかりで目を固く閉じているばかりでは視界はいつだって開きはしねえだろう。それに気付くことが出来ないところが、ヤツの短所であり、愛しいところでもあるんだろうが。

 どうか、今のしあわせを大事にしてくれ。泣き顔も好きだが、笑ってる顔も好きなんだ。そうして新しい恋人と別れた時には、いつもみたいに俺を頼って泣いてくれ。次に泣いた時は、慰め賃としてその唇を掻っ攫うくらいは許せよ。その時の言い訳のためにも上等に酔いやすい酒は用意しておくから。

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14 :
04/28-23:51

 着信を知らせる音楽が先刻よりずっと鳴り続けている。それには端から気付いていたが、受話ボタンを押下しなかったのは単なる意地でしかなかった。

 「――よお、何か、久しいな。」

 久しいのはよく理解していたが、それをとうに認知していたということを知らせるのは癪だった。女々しさが先立つようで、ヤツと肩を並べたい俺はそれを感知させたくなかったんだ。電話の主はいつもより少し声色が弾んでいて、その理由を知っている所為もあって、喜々たる話には話半分にしか付き合ってやることが出来なかった。馬鹿話をするのに言葉を選ぶようになったのは何時頃だったのか、俺がヤツに負い目を感じるようになったのは何時頃だったのか。
 そうして話はいつもの話題に移り行く。それで、アイツが、と何度目かになる切り出しを前に、俺は無意識に口を開いていた。

 「今から、」
 『ん?』
 「今からお前ンところに面出しに行ってやるから、有難く思えよ。」
 『何だそりゃ。』

 「で、凹んでる俺様に背中貸せ。」

 手貸せって言いたいところだが、それはお前の恋人のために免じておいてやるから。そう俺が揶揄の意図を表面に滲ませた時に返ってきた零れ笑いを、俺は如何したって、祝えない。
 だから、その背中くらいは俺に寄越してくれ。思い切り体重かけて肩凝らせるくらいの意趣返し、それを口実にお前に会いに行くよ。

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13 :
04/28-15:20

> .

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12 :
04/27-20:26

 最近やっと、ヤツの顔を思い出せなくなってきた。これを幸いとする友がいるだろうか、なんて反語、使いたくはなかったんだが。少しずつ少しずつ、山頂に向かう旅人のように、酸素の代わりにヤツを奪っていけば少しずつ慣れていくんじゃねェかと思ったんだよ。

 それでも俺の部屋にはヤツを思い起こさせる香りが立ち込めていて、今すぐにでも飛行機に乗り込んでヤツの家の扉を叩いてしまいたいと思う。これは恋情ではなくて友情なのだから、失ったとしてもきっとまだ立ち直れる筈だと、言い聞かせる他ない。

> (緩やかに消えていきたいと思う。それをお前は許してくれるだろうか。)

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