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東方逃現郷
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「ま、待ってくれ、そこまでにしておいてくれないか…! 今までの騒ぎは、何かの予期しない要因があって無意識なままに暴れてしまっただけであって、 きっとこの子の意思があった訳じゃない! 子供が癇癪を起したのとはまるっきり違うんだ!」 「慧音先生…! そうは言うがね、それなら根拠を示しちゃくれないものですかね!? 例え慧音先生の言う通り、偶発的に起こったものだとしてもだ、 また意図しないままに同じ事が起こればこの妖狐は同じように暴れるって事じゃないか、そっちの可能性の方が明らかだ! せめて原因が分からない事には対処の仕様が無いですよ。 そんな無駄な議論に時間を掛けるのに比べたら、こんなガキの妖怪一匹だったら手っ取り早く……」 「……!!」 小狐はアイリスの腕の中で顔を青ざめさせて、その言葉に震えた。 親狐や、誰に教わったのでもない。人里に潜み住むという事は、普段から人目を避けて、大事を起こさないように配慮する事を、良く理解していた。 勿論、これまでの生活で常にそのスタンスの通りにいかず、ふとしたミスを見咎められる事もあったが、 その結果としてどんな仕打ちを与えられるかは身を以って思い知っている。そんな経験を何度もしていた。 故に、妖狐はいつも慎ましく、それでいて文句一つ零す事は無かった。 けれど、今の状況はまるで訳が分からず、混乱していた。何も考えられなかった。 今、この身を抱き締めてくれているこの人間の行動には、どんな意図があるのだろう。産まれてから死に別れた、親狐の事を想う気持ちが重なり、涙が止まらない。 「いいや…迷い込んできた子供の妖怪に毎回そういう対処をしていては、いつ人里が報復される目に遭うか分からないだろう…。ここは自警団に任せて欲しい…」 「おいおい、自警団の看板をみだりに出さないで貰いたいね、まず慧音先生よ、アンタはどっちの味方なんだ!? そこのところをハッキリさせてからにしようじゃねぇか!」 なんて高圧的な物言いだろうか。自警団の一員として対処しなければ解決しない事態なのに、 それを理解して慧音の権限を封殺しようとしている。 既に過激派の頭目的な存在として、この男が後ろに賛同を示す待ち人を数人侍らせているため、淡々と無視して鎮圧する事も出来ない。 それよりも、妖怪としてではなく、一人の意思を持つ者として、この発言を見過ごす事は出来そうになかった。 「っ……! く…私は、人間だから、妖怪だからという短絡的な事で自警団に協力している訳では…!」 慧音の本音が漏れると同時に、男は険しく皺を寄せていた表情を緩め、その怒っている様子が演技だと言う事を隠そうともせず、口端を釣り上げてほくそ笑む…。 その時だった。
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