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東方逃現郷
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「っ!……止まった?」 今にも我が身を貫かんと迫ってきていた触手が不意に停止し、そのまま空気に溶けるように雲散霧消していく光景にアイリスはぽかんと首を傾げながら身を起こした。 目の前に広がる光景は、自分と同じように唖然とした顔をしている野次馬と、体を包んでいた妖気が消え、へたり込む子狐妖怪。そして… 「「幻月!?」」 アイリスとライゼスの悲鳴じみた声が響く中、糸の切れたマリオネットのように崩れ落ちる幻月の姿だった。 「幻月っ、どうしたの!? しっかりして!」 「落ち着け。下手に動かすな! 誰か、手を貸してくれ。寺子屋まで運ぼう。あくまで慎重にな」 取り乱すライゼスと、駆け寄ってくるアイリスを宥めるように慧音が言い聞かせ、周囲に集まった人々に指示を出していく。 確かに彼女が倒れた原因がわからない以上、下手に動かしてはかえって状態を悪化させ、取り返しのつかない事態に陥る可能性もある。 慧音の落ち着いた対応にアイリスとライゼスの二人も冷静になり、自分たちも幻月の元に歩み寄って――アイリスの視界の隅にそれが映ったのと、声変わり前の少し高い少年の張り詰めたような声が上がったのはほぼ同時だった。 「このバケモノめっ!」 「っ! ダメ!」 へたり込む子狐妖怪と、その子に向けてまさに振り下ろさんとする掌大の石を頭上に掲げた少年。 アイリスの体は考えるより先に動いていた。 妖狐は先の暴走の影響が残っているのか、はたまた恐怖に身が竦んでいるのか逃げる素振りは見せない。 掲げた腕を振り下ろす少年はキッと殺意すら感じるほどの鋭い目つきの割りにどこか今にも泣き出してしまいそうな印象を受ける。 どうしてそんな顔をするんだろう。この子はこの妖怪の子にどんな思いを抱いていたんだろうか。 刹那の思考を挟んで動かない妖狐を抱き締める。 離れた場所から自分を呼ぶライゼスの声が耳に届いた直後―― ガツンッ! 側頭部を襲った衝撃に思わず仰け反る。焼鏝を押し付けられているような痛みと、頬を伝う生ぬるい感触。腕の中の子狐妖怪はぎゅっと目を瞑って震えていた。 「……怪我はない?」 「!?」 驚いたように顔を上げる子狐。 その目が微笑むアイリスを、そしてこめかみから今尚滴る液体を捉えてまたアイリスの顔に戻り……。 「ぅ……ひくっ……うぅ、うあぁああん!」 込み上げてきた感情が爆発するようにアイリスの胸で泣き出したのだった。
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