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琥珀の多幸感は然れど耽溺の音に蕩け…
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> 幼。 あぁ、まただ。 またへんな音がする。 いやだ、…聞きたくないのに。 奉公人として働く、その側で聞こえるのは、…───。 正確には今、居る主人…旦那さまの屋敷の裏手の更に向こう。 布の擦れる音、荒い息遣い、下劣な声。 なのに…笑い声。 # 何これ? いやだ、気持ちが悪い。 どれだけ強く耳を塞いでも音を拾ってしまう、この耳は。 聞こえる、聞こえちゃう…──やだよ。 俺はこんな事なんて知りたくなかったのに。 えっ? なん…ですか、旦那さま。 その目は。 その音は。 なんでそんな音を立てているんですか? 俺は唯の奉公人ですよ? まさか……違いますよね? やめてください、そんな目で見るのは。 # 同じだ、向こうから聞こえる音と。 やめてください、そんな音を立てて俺に近付かないで! # 俺は奉公人だから。 # 俺は" 奉公 "人だから? そんな、澱み歪み切った様な音で俺に近付かないで!! # ───…っ、はぁ、はぁ…、…。 腕を掴まれた跡が痛い。 あの場所に水瓶があって良かった。 柄杓で思い切り旦那さまの顔に水を打っ掛けた。 その儘、手の柄杓も顔へ思い切り投げ付けた。 俺を笑って見つめて来た、あの顔に。 走って、走って…とにかく走って逃げた。 脚だけは昔から速かったから、…それが幸いだった。 ……。 あぁ、この場所で響く音には碌なモノが無い。 その所為で俺は… 俺は… 音が怖い。 あの音が。 渦巻く程に欲望に満ちた、あの音が。 そうだよな…俺は所詮は棄て子。 何処の誰に棄てられたかも解らない。 名前も、家も、何も無い。 そんな俺を真面に愛してくれる人なんて居ない。 # もし、いつか俺が心から愛したいと思える人が現れても… # 身分が違う。 存在価値が違う。 # だから愛されようなんて期待しない。 # 期待…しない。 # 期待…───なんて、しない。 ほら、やっぱり。 愛されたくて頑張っても、振り向いてくれない。 それどころか触れさせてもくれない。 気が付けば利用されて、それで終わり。 其処に愛なんて何も無い。 騙されてると、この耳は確かに解っているのに。 何処かで期待なんかするからだ。 俺が、俺なんかが愛される訳が無いじゃん。 もううんざりだよ、裏切られるのは。 人を騙す音も。 人を疑うこの耳も。 ───…次で最後にしよう。 今度、俺が愛したいと思ったら俺から裏切ろう。 どうせ遊びなんだ。 相手だって。 だったら一度切りの火遊びだって言えばいい。 そうすれば誰も傷付かない。 # 俺だってこんな事、知らない儘で居られたなら… # 媾おうなんて、お前に言わなかったのに。 # 何も知らない純粋なお前に、穢れた欲望なんて自覚させずに済んだのに。 # ごめんな。 # ごめんな、炭/治/郎。 結局、俺も彼奴等と同じモノになっていくんだろうな。 # それでもお前が欲しかったんだ。 # お前の事が如何しても。 嗚呼…そう願ってしまった俺は最低だ。 >
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