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今夜は有意義な時間を過ごせた。 退屈だ、退屈だと詰まらなさそうに此方を見る彼女に対し、当初の私の心境を一言で表すのならば、やれやれ、だ。然し、偶然出会ったのも何かの縁と考え、真夏の夜の暑さの影響か正常な思考が働かない中で、彼女の退屈を紛らわす何かを思案していると意外にも彼女の方が先に行動に出た。カツン、と軽い音を立てながら彼女の特徴的な足が床を叩けば、目の前には異世界…いや、月の海が広がっていた。その異常さよりも眼に映るその光景に……私は目を奪われた。月の表側、などと説明する彼女の声も聞こえぬ程に、私はその幻想的な風景に魅入ってしまっていたのだ。…一方で、彼女はそんな私にもその風景にも興味を示さず、相変わらず私を弄る事に熱を注いでいたのだが、私が此処は落ち着く、心を休ませる事の出来る場所だと素直に告げると、僅かに口元を緩ませ確かにそうだと頷いた。そうして、少しの間会話を楽しんでいる内に彼女からこう尋ねられた。少しは涼めたかしら?、と。その言葉に私は思わず苦笑を浮かべ、ああ、自分でも気づかぬ内に夏の暑さなど何処かへ行ってしまっていたよ。そう言って彼女の方へと視線を向けると、その先には既に瞼を閉じ小さな寝息を立てる少女がいた。やれやれ、これでは君の退屈を紛らわす事が出来たかは判らない。そう心の内で思いつつ、私は再び、静かな月の海をゆっくりと眺めたのだった。
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