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アナナスの花言葉
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今日は激動の一日だった。 朝から早く目覚めた彼奴が日記を書き出し、 僕は眠い目を擦りながら移動した。 移動しながらも彼奴は恋仲と連絡を取りつつ、 僕は傍目から其れを眺めていたんだ。 家に帰り一休みすれば、珈琲で隠した眠気も復活する訳で。 恋仲を煽る様な真逆の発言をかましてくれちゃってさ。 自己嫌悪で取り乱す彼奴を、僕は亦傍で見ていた。 で、夕飯には遅い時間に嫌々ながらも食事をしていたら、 話題が恋愛観の違いに移って、何故か僕の話になっていたんだよ! -------光が有れば陰が有る様に、僕と彼奴は表裏一体。 そうだねぇ、彼奴が光で僕が陰かな。 彼奴は愛され祝福され、恋仲とは佳い関係を築いている。 一方僕は日常を引き受け、代弁者として活動する。 其れが正しい関係だと、疑った事は無かったのに。 貴方が僕を望むだなんて、思っても見なかったんだよ。 本来、僕達は器の中に仕舞われている、一つの人格の様な物だ。 求めに応じて浮上し、器の代わりに言葉を紡ぐのが仕事。 僕達の器は、数ヶ月前に彼奴を主体として選択した。 僕は対外と日常をこなす。 其れが当たり前で、手を離した存在にも未練は無かった。 こうして此の儘、彼奴を手助けしながら倖せを祈る。 僕の役目は其れと割り切った心算で居た。 否、此の日記を書き出し始めた時も、そうだと信じて疑わなかった。 夏の少し前の事だ、僕は貴方に初めて逢った。 相対して話す其の姿は、彼奴の初恋に佳く似た顔で。 小さく胸が痛んだのを、微かに覚えている。 何の切っ掛けで僕らが引き逢わされたのか、怖くて履歴が辿れないけど、 僕は急に裏舞台から引きずり出されて仕舞った。 元々が僕の好きな顔だ、少しの好意を抱くのは早かったよ。 でも其の気持ちを棄てたのも秒速だった。 だって僕は陰だもの、日向でぬくぬくなんてして居られない。 隠している過去だって、お世辞にも最悪としか云えない僕。 そんな僕に誤算が生じたのが何時だったのか、知らないけど。 貴方が僕を求めてしまった。 傍から見れば両想い、倖せな流れだと笑うだろうけど。 僕は頭痛が止まらなかった。 だって僕は、貴方への想いを棄てたんだ。 こんな昏い過去の僕が、新雪の様な貴方に相応しい訳が無い!! でも、同時に悟った。 僕が応えなければ佳い。欲しければ、身体はあげるから。 心には触れないで。 僕の過去に触れないで。 何時か、諦めて呉れる時を静かに待とうと。 ……可笑しいかい? でもね、本当にお世辞にも忖度しても釣り合わないんだよ。 穢れた事のない清廉さに、僕は余りにも合わない。 優しさ、とか。心揺れる時も有ったけれど只管願っていた。 どうか、貴方の気の迷いで有ります様にと。 けど、現実は残酷だった。 今月に入って唇を塞がれ、僕も好きだと応えて仕舞った。 でもね、此の慧眼を持ってしても貴方の気持ちが解らないんだ。 ささやかな抵抗をして、稚児趣味なのかと突き放しても見たのになぁ。 だけどね、一つ解った事が有る。 貴方は僕の厭がる事をしないから、嫌々を続ければ何時かは離れる。 馬鹿だって? あの人の遺伝子を僕で終わらせる位なら、充分すぎるよ。 今でも好きな人。 決して結ばれる事の無い人。 僕は貴方に相応しい、僕だったら佳かったのにね。
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