出逢いがないのならフラグを作れば良いのです！

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私が羽，川，翼であると言う事を証明するのは私にしか出来ない事だ。私が何処で生まれて、どんな幼少期を経て、どんな子供に育ちながら、家庭内で何が起こり、何を思って、何を感じて、どんな出逢いがあって、誰を好きになって、誰を嫌いになって、何を失って……何を得たのか。取り戻した、が正解なような気もするけれど。
  とにかく私が経験した事を全て話すのは私にしか出来ない事だし、その時々に何を考え、思い、想っていたのかは私しか知らない。それでも。
  そんな一連の人生を経てもなお、それでも私は、私が私である事を証明する事が、私自身の証明が、未だに難題なのである。
  或いは、自己紹介が、不得意なのだった。

確かに、ロケハンと言う名の人探しの旅で、と言うか海外で、「こんにちは、私はごく普通の日本人女子高生です」なんて言ったところで、いやいや普通の日本の女子高生がこんな所で何してんだって思われるのは当然の事で、実際ほとんどの人が怪訝な表情を返してくるし、証明しようと制服姿である事を見せれば、それが余計に不信感を煽る結果となったのだった。

…いやいやなんだか小説の冒頭のような出だしになっているようなんだけれど、勿論書いたのは私自身なのだからこんな文句は言っても仕方ないと言うか無駄な足掻きにしかならないのだけど。自己紹介が出来ないって！そんなに私って薄っぺらい女だったの？？猫に魅せられ、虎に行き遭ったけどそれは自分自身でした、なんて言っても信じてもらえないだろうしそもそも言える訳がないじゃない。
  かと言って複雑な家庭事情を話してお涙頂戴なんて事はしたくはないのだし、私より複雑で壮絶な家族事情は海外の方が多いような気もする。何でも知っている訳じゃないけれど、それだけを武器にして渡っていける程世の中は上手く出来ていない事は知っている。いや、もしかしたら知らないのかもしれない。
  私はあの人を結構簡単に見つけられると思ってるんじゃない？軽い気持ちで、まるで隣に住んでいる親友の家に遊びに行くような感覚で、何処かでこの海外旅行を観光気分で楽しんでいない？？私の知識が、私の知らない所で何処まで通用するか楽しんで―。
  …そうか、これも私なのか。だとしたらこれは私を知る旅にもなるのだろう。私の知らない私を、認識する旅。ストレスが猫で、嫉妬が虎なら、さながら私は、私という人間は、私を構成する人格は、ネコ科の生き物で構成されているのかもしれない。
  そう考えたら、自然と笑みが溢れた。私を探す旅。私自身を見つける旅。

どうやら私にはもっと色んな妹がいるらしいと、知ることが出来たのが、そんな風に思える自分が嫌いじゃないと思えたのが、とても嬉しかった。

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