矜持とは。急に哲学でも始まりそうな書き出しで筆を取ってみたけど、態々日記で小難しい哲学を広げる気にはなれないからいつも通りオレのこと。
プライド高そう、ってのはアイツ含めた周りからよく言われる言葉。そりゃそうでしょ、としか言いようが無くね?自分の能力に自信持ってなきゃカリスマなんて名乗れねぇよ。で、会合相手の鳥頭がよく間違えんのが、プライドの高い奴は頭を下げたり媚び売る事に屈辱を感じる、ってやつ。んな訳ねぇだろ。その方が後々オレの利益になるなら、媚び売る事も頭下げる事も、それこそ地面に額擦り付けた所で、オレの矜持には傷一つ付かないし、屈辱なんて感情は欠片も抱いてない。
嘘泣き1つで欲しい物が手に入った時、大半の奴はラッキーって思うはず。ま、嘘泣きなんて真似をしなきゃいけないなんて…って思う奴も居るんだろうとは思うけどね。オレは前者。本来必要な筈の対価を払わずに相手を騙して欲しいもんを得られた、それを恥とする感性は生憎と育ってないっぽい。
欲しい物の為に手段を選ばないことをプライドが無いって言う奴も居るけど、お生憎様、自尊心は山より高く存在してんだよなぁ。ほんの一時泥水を啜ったとしても、必ず後でソイツを跪かせて惨めに命乞いをさせられるって確信してるからこそ。そこら辺の感覚が分かんない奴が案外世界には溢れてるっていうのは、この道を歩んでから初めて知った事だな。
何を書こうとしてたか忘れる所だった。
オレは自分の痴態やら醜態を見られても気にしないし、後で見た奴の存在ごと消せば良いだけだろ?って思うだけ。歳上だから、幹部として、そんなもんオレを構成する一部でしか無い。何十年と掛けて色々なもんを積み上げて作り上げた"灰谷蘭"としての矜持に傷を付けれるような存在が居るなら、それこそ弟だけ。だってそうだろ?今は亡き王様を見送った時の無力感、あれが最初で最後。次そんな思いをする時は自分の判断で弟を喪い掛けた時くらいだろうと思ってたのに。物騒とは真逆で、真綿で首を絞めるみたいに、どろどろに溶かされるなんて誰が予想出来た?オレの矜持を揺るがして、崩そうとする事を許されるのも、そもそも傷を付ける事が出来るのも全部お前だけなんだって、いつ気付くかな。