蝉の脱皮、オメーら見た事あるかよ?あ?ねーって?しゃーねえな、教えてやっから、来年にでも見てみろよ。すげーんだぜ。
蝉っつーのは、その時になったら地中から硬い茶色の殻を被って出て来んだ。あのキャラメルみてーな色がまたイイんだよな。んで、好みの木やコンクリにしがみついて、ゆっくり背中の殻を破って行く訳だ。
眺めてたら軽く数時間は掛かっかな、殻から出てきた蝉はエメラルドグリーンの体でよ、キレーだぜ。目はあれだ、エビに似てる。つぶらな黒い瞳だ。そいつが時間を掛けて羽根を乾かし、オレらの良く知る姿になった所で飛び立つんだよ。けど、脱皮の時点で体力使い果たしちまうやつも居て、オレが見てた蝉丸は…次の日見に行ったら飛び立てねーまま、地面で死んじまってた。けど、ゆっくり脱皮していく姿はマジで神秘的、っつーの?感動すんぜ。
あー、夏ももう終わっちまうな。