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517.【広壮なる】二つ名キャラで小説を書こうぜ 第二章【妄想】
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──私立濃緑学園。 多くの生徒が学舎とし、友情やその他諸々の人間関係を育む場である。 その中のあるクラスに転校生が来ることになり、その報を聞かされた当該クラスの生徒や他クラスの野次馬連中が、ざわ……ざわ……とざわめいたのは言うまでもない。 斯くして濃緑学園に、転校生を迎える日が到来した。 濃緑学園特殊学級一組、通称『特組(読み・とっくみ)』に在籍する少女、陣夜鈴音子(じんや すずねこ)が登校したのは、朝礼開始十分前のことだった。 巨大なナップザックを背負い、いつものように自分のクラスに向かうべく階段を上がった彼女は、いつもとは違う光景を目にして、自身の糸目を少し丸くする。 普段なら教室で談笑しているだろう生徒たちが、皆廊下でたむろしているのだ。「……およ?」と鈴音子が立ち止まり、小首をかしげていると、後ろから彼女の肩を叩く者がいた。 「……鈴音子ちゃん」 「あ、彰子ちゃん。おはようです」 振り返ってにぱー、と笑う鈴音子に、彼女──通称、不動彰子(ふどう あきこ)はこくりと頷いた。彼女の頭の動きに合わせて、長い黒髪がさらりと揺れる。 因みに、『通称』というのは他でもない、異能を扱う鈴音子ら特組生やその教師は、あえて本名を伏せ、通り名を使っているのだ。異能を持つ者にとって、本名が露見することほど致命的なことはない。 「彰子ちゃん、なにがあったんでありますか? みんな教室に入ってないみたいですが」 鈴音子の疑問に、彰子は何やら腹立たしそうに眉根を寄せて、教室の中を指差す。 「……邪魔……」 「ん?」 廊下でたむろする生徒たちをかき分けて、鈴音子は教室の中を覗いてみた。 「……うへぇっ」 途端、奇妙な声が口から漏れてしまう。教室の中は、想像を絶する光景になっていた。 教室の床一面に漆黒の花々が咲き乱れており、いつも使っている机や椅子がことごとく消えている。ただ一つ無事なのは教室の中央にある机のみだ。 ──あ。 そこで鈴音子は、彰子が不満気にしている原因に気づいた。 ──あそこ、彰子ちゃんの席ですね。 普通なら唯一残っているのだから喜んで然るべき所だが、彰子が苛立しげにしている理由というのは一目瞭然だった。
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