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609.暇だから小説でも書いてみる
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人さし指であごをつつきながら、彼女はぽつりといった。 「たとえば……甘いところかな」 「甘いところ?」 「そう!」 彼女は、その笑みを俺の顔すれすれまで近づけてきた。 「甘くて、とっても優しい味が大好き」 興奮したようにいった。 「そうなの?」 甘くて優しい味。 そんな味を、俺は持っているんだろうか? 俺はどちらかといえば無愛想で、甘い雰囲気などないと自分では思っていたが、彼女はそう感じていたのだろうか? 「わかった。それなら、これからもっと甘い感じにしてみるよ! 努力する」 「え? 今泉くんが?」 「もちろん。俺が努力しなくて、誰が甘い味を出すんだよ」 「え!?」 彼女は顔を遠ざけ、ひらいた口に両手をあてた。 「もしかして、今泉くんが味を決めてるの!?」 「いや、決めてるっていうか、そういうのって、自然に滲みでるものじゃないの?」 「滲みでる……」 へえ、と彼女は、何かに納得したかのように、深く、なん度も、なん度もうなづいた。
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