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609.暇だから小説でも書いてみる
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「そっか。味は、“決める”んじゃなくて“滲みでる”んだね。今泉くんって、かっこいい。いかにも職人って感じだね」 「いや、職人ではないけど……」 少し黙った。 「ところで、他には好きなところないの?」 「他に? そうだなあ」 彼女は上目づかいに夜空を見あげた。そして、いった。 「香りも好き」 「香り?」 そういえば、きょうは少し香水をつけている。 「そうか。わかった。じゃあ、今度から、かならず、この香水をつけるよ」 「ダメだよ!」 彼女は俺の腕を両手でつかんで、大声をだした。 「なんで? だって好きなんだろ?」 「たしかに、いい香りだけど、香水なんかつけちゃダメだよ! 絶対ダメ! お腹こわしたらどうするの?」 「お腹? お腹なんか壊れないよ。実際、今までにも、なん回か香水をつけてみたことはあるし」 「今までも、つけてたの!?」 ぜんぜん気づかなかった、と彼女はヒトリ言のようにいい、俺の腕をつかんでいた手をはなした。 ――つづく
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