色んな履歴を、消そうと思って。消したら、消せたらどうにかなると思ったんだよ。…でもふと懐かしさに浸っちゃってさ、履歴を検索したのが馬鹿だったよね。…頭に残って仕方のなかった言葉を思い出した。最近はそんなことなかったのに。「捨てないで」「ひとりにしないで」「自分を見て」なんて、そんな内容。別に僕に向けられた内容じゃない。何年も前の、彼奴の恋人に向けられた言葉を僕は聞いてた。…あの時、何を思ってたんだっけ。僕の方が好きなのにって思ってたのかな。あんなやつ早く別れなよって思ってたのかな。もう思い出せないけど。それが、頭の中から消えない。仕事をしても友人たちの会話を眺めてても、なにも。何も消えてくれない。別れようとしてる僕がずるいんだよ、しってる、だけど。だけど。今の自分に向けられた言葉のように聞こえて仕方がない。履歴の残る場所で聞かなきゃ良かったな、いつかはこうなるんだから。消せない。けせない。誰か消して。この記憶も、履歴も、全部まっさらに消してくれたら、きっと。………僕は楽になれるのに。ずるいな、最後まで自己保身だ。全部自分の為でしかない。お前を好きだったことも、付き合ったことも、支えたことも、今別れようとしてることも、全部全部自分のためだ。…ずるくてごめん、弱くてごめん、でももう疲れた、しんどいよ。1人にはしないから、別れても友達でいるから。ちゃんと、お前の隣にいるから。お願い、許して。もうこんな苦しくて寂しい思いはしたくないよ。僕と付き合ってるのに僕じゃない人を見てるような顔をしないで、僕を通して別の人を見てるくせに「叶しかいない」ってわらわないで。なに間違えたんだろ、…ごめん、本当にごめん、捨てたいわけじゃないんだよ。顔も声も言葉も、お前の存在全てが好きだったのに、好きでいたら絶対に傷つけるから、嫌なこと言っちゃうから、…全部言い訳にしか聞こえないと思うけど。知ってるけど。…それでも僕がする行為はお前を捨てるのと同義だから。…おねがい、ゆるして。さーしゃ。…………すきでは、あるんだよ