この距離感でいいのか、と悩んでいたのはどうやら小官だけだったらしい。


食事を用意して、貴殿の身の回りの事をして、ぽつりと言われた、
｢結婚でもするか？｣
に思考がフリーズした。
小官は貴殿にとって、そこまで大切な存在になれていたのか。小官が理想の姉さん女房だと言われても更に実感がない。


ただ、もし、都合のいい存在と扱われていても構わない。
気軽に帰れる場所に、そして貴殿が帰った時におかえり、とお疲れ様を言いたい。
小官としては、それだけだ。

さて、この沈着状態は如何に解決すべきか。否、それは小官だけが思っていて、貴殿はそう思っていないのかもしれないが。


何だかんだと言っても、例え形が変質しているとしても、小官の気持ちは変わらない。
ただ、変質した部分を見せたくない。…その為に不信感を抱かせている様な気もするが。
小官と貴殿がちぐはぐなのでは無く、小官がちぐはぐなのだろう。

貴殿と久々に居られるからか、もっと声を聞いていたい、もっと温もりを感じていたい、という欲求がむくむくと湧き上がるが、それも抑えなければ。元はそんな我儘はあまり浮かばなかった。が、それで忙しかったり体調が優れていない貴殿の負担になる訳にはいかない。


｢餓鬼みたいに付き合っただの記念日だとかでキャーキャー言う気はない。一緒に居られればそれでいい｣
という言葉が最近よく頭を過ぎる。
実はカレンダーに付き合った日を記してある、と知ったら貴殿は呆れるだろうか。
もっと貴殿の声を聞きたい、触れたい、行かないで欲しい、と願っている事を知れば、貴殿は面倒臭がるのではないだろうか。


好き、とは難しいものだ。

｢まるでこのピーチタルトみたい｣

なんて、思わず口にして目の前にいた幻／太／郎驚かせちゃった。


今日は僕のお気に入りのケーキ屋さんでスイーツタイム。
この時期のお店の僕の一番のお気に入りはピーチのタルト。

こじんまりとした素朴なお店でね。店主さんの得意なのは焼き菓子。勿論ケーキも美味しいんだけど。
だからかな、タルトになるとタルト生地もすごく美味しくて、ケーキ部分も美味しいのに、合わせるとちぐはぐになっちゃう。それが好きなんだけどね。桃の甘くて、爽やかで、カスタードクリームののった、ケーキの部分と、ザクザク、としっかり主張する甘さ控えめのタルト。



今のアイツと軍／人さんが、そんな感じ。
帰ってきて一日経ったけど、なんだかちぐはぐ。


軍／人さんとしては、これ以上アイツに謝らせたくない、けど、待ってた間溜まってた淀んだ気持ちのやり場がどこにもなくて。ようやくやっと会えた、って言うのに、前に言葉貰ってから1ヶ月と1週間、待ってさ、事情もあるのも分かってるしそれを責めるなんて事も出来ないけど、どうやって信じたらいいのかも分かんなくなっちゃって、本心のまま、接する事が出来なくなっちゃってて。帰ってきた日にちも日にちだからさ、本当はそれでようやく思い出して帰ってきたんじゃないかな〜とか、さ。ついでに実際会ったら、前ってどうやって接してたのかな、って。


アイツはアイツで、待たせた、って意識からアイツの癖に堂々と恋人だって言えないみたいでさ。
｢一応恋人だから、誕生日は祝うモンだろ｣
ってちょっと〜って感じ。一応恋人って待ってた軍／人さんの気持ち考えてよ〜、ってのと、そんな義務感みたいに祝われる誕生日程悲しいものは無くない？知人のそう言うのならまだしも。恋人心、分かってないな〜。



って感じでただ今混迷中。
あーあ、人間関係って、恋愛って、難しいね。なかなか、全部上手くいく、とかそんな事もないなぁ。

まぁとりあえず、美味しい甘い物食べて、元気だしてこ。いっただきまーす！

まずは、とある有／栖／川への返信から。

小官の言葉を、想いを、好きだと言ってくれて感謝する。貴殿のファンコールの言葉が、とても嬉しかった。この場を借りて感謝を。




近況報告。
以前の日記は、連絡が無く、待つ、としか綴れない日々が、余りにも寂しく消してしまった。
待つ事も正直半ば諦めていたが、場所を消せず、毎日おはよう、とおやすみ、を言う習慣は止めて、一週間の定期報告のみに留めていた。
それが、今日になって、ようやく戻ってきた。

申し訳ない、すまない。
そんな言葉ばかり紡がせる気ではなかった。

胸に巣食う疑念がないと言えば嘘になる。
不満がなかったか、と言われるとそれもなかった、と言うことは出来ない。
待つ事は、結果的に出来たが平気ではなかった。



それでも、今は貴殿と再び、会えた事が嬉しい。
それだけで、幸せな誕生日だと思える。
目に映る色が、それだけで鮮やかに見える。

至極単純、それでも構わない。

止まった歯車が動き出すような、感覚がある。
今度は、もっと幸せな言葉を紡げる様に。