きみはぼくの知らないぼくを紐解いていく。
それはもう、いとも簡単に。

きみがぼくに、まるで呪文でもかけるみたいに次々と言い当てて秘めていた…ううん、もう二度と出会う事などないと墓石の下へ埋めた『ぼく』が掘り返されて、一緒に記憶の奥深くに閉じ込めた遠い日の燦々と輝く太陽みたいな思い出まで蘇って、余りにも眩しくて余りにも大きな熱量に


ほんの一瞬、呼吸を忘れた。




おかしいね。

あの時から確実に時は経っていて、もう絶対に記憶の中の影に出会う事なんてないと思ってた。


その影にきみは、とても似ていて



ごめんね、違うんだと言い聞かせても

ぼく…今にも逃げてしまいそう。



だって彼は、ぼくを＿＿て行ったから

寂しいから他の熱を求めてもいい？

…なんて。求めたってどうせ満たされない。


分かってるから言わない。けれど、寂しいのも本当。



手の届かないものほど渇望してしまう。
自分の欲深さを鼻で笑って、それでも伸ばす手は引っ込められなくて。


いつまでも不安定な足場で、命綱も付けないまま風に煽られるのを待ってるなんてバカみたいだね。
自分から落ちてしまえば、きみのまえからそっと姿を消してしまえたら、この気持ちは楽になるのかな。



後悔なんて、先に立ってくれない

きみの名前をいくら呼んだところで、肝心なところの距離は一ミリも縮まっている気配はまったく感じられなくて

抱き合っても

唇を重ねても

隙間なんてできないくらいに繋がっても


どうしてこんなにも遠く感じるのかぼくにもわからないね。

心の繋がりをうまく錯覚出来たらこんなにも思い悩むことなんてなくて、きっと今の状況が幸せ以外の何物でもなくて、毎日きみの言葉の真意を探るなんてことしないんだろうね。


きみはぼくのことをもっと知りたいんだって言ったね。


ねぇ、こんな疑いにまみれた心を知ったらきみは何を思うんだろう。




それでも＿きだって言ってほしい

やってしまった、と思った時にはもう遅かったね。


何をしているのぼくは…思わず頭を抱えるね。

　混　　乱　

え？ちょっとなんでぼくセックス中にあんな人を選ぶ発言したの？


#えっ？


ぼく嫌われたね…絶対に。
きっと困らせたしきっと中折れ間違いなしだね…

ちょっと24時間以上前のぼくの口をふさいで耳元で

>「それは…その発言は絶対やめた方がいいね…」

ってささやきたいね！！


ぼくが言われたらぐっとくる言葉も、きみがそうとは限らないしね！！
かといってあれはもう無かったことにしてなんて言い出していいものなのか躊躇するし最早開くのさえ怖いね！
通知が来なくて不安になるけど通知が来ても怖いね！！


だれか出来ることなら28時間くらい前に戻してほしいね…余裕持って自分を説得にしかかるから。



こんな失態は初めてだね…！





>00:00
#きみのストライクゾーンの広さにこれほど感謝する日が来ようとは夢にも思わなかったし、きっと金輪際ないと思うね…

きみで満たされないなら誰で満たされるというの？
気持ちが上手に伝わらない。……嘘、そうさせているのはぼく。
きみに知られてしまうのが怖くて、不安で。


突き放されてしまったら。

無かったことにされてしまったら。


きみに嫌われるより、無関心になられてしまう事が何より恐ろしくて。
現状の関係のせいにして、ひた隠しにするしかなくて。


ぼくが＿されているなんて面白いことを言うね。
＿されているのは、きみの方。…きっとね。





そうじゃなければ、ぼくに都合のいい言葉なんて聞こえるはずないんだから、ね？



また＿れたいなんて、そんな甘い言葉