眠れなくて、酷く喉が渇いて、腹立たしいのでオズの提案に乗ってやったら何だか面倒な事になりました。そもそもなんで戻って来たんですかね、あの人。
無いものを欲しがる、か。分からないな。

おまえとはここでお別れ。
最後の最後まで良い子の振りをするなんて馬鹿みたい。無様に惨めに泣いて縋って望めばよかったのに。それをしなかったのは、とっくの昔に飽きていたからに他ならないだろう？嘘吐きだね。ちゃんと、心を込めて大嫌いって言えばよかったのに。
おまえが何処か遠くの知らない世界で知らない誰かと幸せになりますように。

求めるものはあるんですよ。一応。だけどそれがどんな形をしていて何処にあるのかがまるで分からないので腹が立つんです。もうずっと昔にそんなものは何処にも無いしお前はそれを得られないとか言われたような気もしますけどあれは腐れ縁の魔女の妬みでもあったので……結局、あるのかないのか分からないままなんですよね。
いっそ適当なものを拾ってきてこれだと決めてしまえば、くだらない事で悩まずに済むのに。こんな事であの男を頼るのは嫌なんですが……まあ、…憂さ晴らしくらいにはなるかな。

そういえば、呪われていたんでした。

縁あるうちは必ず同じ手を取る。最後にそうなったのはもう随分と前の事だったので忘れていましたけど。あなた以外を探して、どれにしようかと選んだものがあなただなんて笑えますね。
何だか酷くムカついたので、次は必ずあなたより先に手放したくないものを見つけてみせます。

もしも明日、この世界が滅びるとしたら？

なんて、おかしなことを言ったのは騎士様。何かを成し遂げたいとか、悔いのないようにとか、名残を惜しむとか、考えるだけ無駄。どうせなにもかも無くなってしまうなら一時の慰めの為に振り回されるなんて馬鹿馬鹿しいと思わない？愚問だよね、他にする事も無いんだから一日中騎士様の傍に居てあげる。昨日と一緒で明日も一緒。毎日同じことの繰り返し。騎士様は永遠が好きなんだって。あと何年、生きられるかな。