お祝いをした。

僕がもう要らないと言ったらきっとこの世の終わりみたいに傷付いた顔をして鬱ぎ込むんだろうね、可愛そうな騎士様。そんな一瞬で終わっちゃう快楽の為に手離してなんかやらない。今日も明日も明後日もずっと、僕の為の騎士様でいて。頑張っても良いよ、強くなっても良い。沢山褒めてあげるから。不貞腐れた顔も拗ねた顔も面白くてすき。怒った顔も好き。ねぇ、過ぎた一年を振り返るとき、きみは自分を恥じるのかな。それとも、悲しい思い出に顔を曇らせるの？どっちなんだろうね。どちらもかな。僕はね、そんな騎士様もだいすき。

今日はみんな機嫌が悪いみたい。雨が降ってじめじめ陰気な空に覆われただけで駄目になってしまうなんて、可笑しい。お前のせいだってもっとはっきり言って、怒りを露わにして傷付けてしまえば良いのに。全部僕のせいにして全てを吐き出してしまえば良いのにね。誰も彼も悲しそうな顔。潰れたスノキの実みたいに外も中もぐちゃぐちゃ。救う方法なんて僕は知らない、助ける気もないよ。だけどぐちゃぐちゃなきみのことは大好きだから、何時も一番近くで見ていてあげる。

騎士様、最近は機嫌が良いみたい。

毎朝、毎晩飽きもせずにおはようとおやすみをくれる。何時も僕の方が遅く寝て遅く起きるのに毎晩子守唄の魔法みたいに優しく、ほんの少し甘えるみたいにおやすみと囁いて、朝には欠かさずおはようと呟いて僕がちゃんと目を覚ますまで仔犬みたいに大人しく待ってる。寝ている僕を眺めるだけの何もない時間なんて、退屈じゃない？嫌になったりしないのかな。不思議。時々焦れったくなって強引に起こそうとしてくる騎士様のことはそんなに嫌いじゃないけど。寂しいの？可愛い。

それから、騎士様は僕がちょっと揶揄ったぐらいじゃ嫌な顔してくれなくなった。拗ねたり、子供みたいな顔して怒るのは相変わらずだけど、螺子の外れた壊れた玩具を見るみたいな冷たい目で僕を見てくれない。何時もなら僕が何か言う度に『今の返答は最悪、がっかり』って顔、してくれたのに。ひどいな。僕は変わらず僕だから、簡単に受け入れないで。許さないで。もっと執着して。僕だけを見てて。……なんて、冗談だよ。真に受けないでね。

今日も騎士様は機嫌が良いから、僕が大好きって言ったらとっても嬉しそうな顔してた。

楽しい時間はおしまい。
お喋りはもうおしまい。

何時までも抱えていたって、もっともっとと強請ったって、生まれもしないものがただ腐っていく様を２人で眺めているだけなんだから。だからもうおしまい。出来もしない約束は約束なんかじゃないよ。シャコウジレイって言うんだって。はじめから嘘なんだよ、きっと。夢みたいだね。
キミが寂しい、悲しいって言えば僕はもっと楽しかったのに。残念。

もう一つ。