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┗1972.Corpse Reviver【〆】(210-214/248)

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214 :ヨルク・ビス・アエタス
2022/04/28(木) 00:27

♯28 花の_散る_らむ

俺は今、婚姻にあたり伴侶と選び抜いたマンションで暮らしていない。不穏な話を期待していたなら悪いが、あいつとは変わらず円満である。
マンションを離れているのは政務がゆえだ。急に舞い込んだ大事に、異世界への帰還を余儀なくされた。

毎日届く電信が昨今の活力である。ある時くれた写真には、満開の薄紅色が広がっていた。見事なその花は『桜』といって、根本に死体が埋まっているらしい。
よくよく見ると花の塊がいくつも枝にくっつくようにして咲いている。そのひと塊の密度が高ければ高いほど、荘厳で、豊かで、綺麗に見え、木としてランクが高いのだそうだ。
桜守と呼ばれる者が何十年と塊を育て、それで観光地の桜は山桜とは一線を画す見応えがあるのだという。
(我が母国ウィリディスには桜はないが、似たような白い花を咲かせる木が群生する丘があり、春になるとバスケットにサンドイッチを詰めて皆一様に花見に興じる。白い花をおさめたささやかな写真を、俺もあいつに送り返した。)

アラヒトは博識だ。日々たくさんの知識を与えてくれる。こと高級食材、とりわけ魚の知識に長け、その知識量たるや某著名人ではと疑いを持ったほどだ。海洋生物研究所の職員説が浮上したこともある。
改めて説明すれば、奴は接待や合コンに明け暮れた末に魚(食材)に詳しくなった外資系企業の営業マンだ。

……話が逸れた。
今では桜も、ウィリディスの花も散ってしまった。時とともに景色は移ろう。人の心も変わってゆく。けれどもお前が他の誰かを好いても、俺はお前を愛している。生涯側にいるよ。煩わしく感じるほどに、記念日のたび説いて聞かせよう。



You smile, I smile.
An year and 9months aniversary.




#ある夜。なぜ俺が受けかについて小一時間ほど考えた。かけた時間に反して答えは単純明快だった。あいつが切れ痔だからだ。以上。
#オヤツは美味しく頂いた。午後も頑張れそうだ。

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213 :黒沼アラヒト
2022/03/28(月) 23:32


フッ、今月はちゃ あ んと覚えてるぜ…!


なにを書くかもとうに決めてた。諸方面において多忙なうちの向日葵ちゃんがここを覗いたときのオヤツ代わりに、ひとつ手記でも書き置くことにする。今回は、俺があの子を「向日葵ちゃん」呼びするに至った仔細をふり返ろうと思う。


向日葵ちゃんは、今でこそ軽率に女の子を焼くこともなくなったわけだが、(今も妖精はよく焼いてる)(けどあいつは悪くねぇんだ)(顔がいいばかりに、やたらと妖精から好かれちまう俺が悪いのさ…。) 出逢ってしばらくの頃はそりゃもう勘繰り深くてなァ…ま、そんなとこも可愛らしかったんだけどね。さておき、その頃のやりとりがこの呼び名の起点だ。

あいつは時たま、唐突になぞかけを仕掛けてきた。古今東西の学問に精通したあいつらしく、気象学や史学に文学、題材にはとんと事欠かねえ。ヒントもなにもない、シンプルなそれらから意図をさぐるのは難しい反面、パズルめいて楽しくもあった。

──…が、あるとき突然。皆目見当もつかん難解な問いを受けた俺は、すっかりお手上げで降参する他なかったんだ。
答えを訊いてみればそれは、あの場所のアレはお前だろう、みてぇな話で。要はまあ。当時、俺に似たやつをこの図書館で見かけたらしい。ここの存在も知らなかったうえに、察しの悪い愚鈍な俺は、そこでようやく合点がいったってわけさ。

該当の本は、今はもう消えちまってるが。外国語で綴られたタイトルを日本語に翻すと、やけにロマンチックで、甘すぎて。
“どう考えても俺のキャラじゃない。それとも、俺のかわいい向日葵ちゃんとでも訳したのか?”照れかくしを混じえてこう返した。

ってのが始まりだった──…よなァ?向日葵ちゃん。


向日葵、太陽、俺の世界。
もう一年と半分が過ぎたんだな。相変わらず愛してるよ。
 

Sei il mio sole.(俺のかわいい向日葵ちゃん)


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212 :黒沼アラヒト
2022/03/01(火) 09:55




幾千の夜を越え

闇夜やみや

宵宮 朔よいみや さく

転  生





…俺たちはどうやら、とんでもない連中黒歴史を揺り起こしちまったみてぇだぜ。

──黒沼アラヒト




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211 :黒沼アラヒト
2022/02/22(火) 19:28


ところで。この手記は俺個人による脚色、および創作を多分に含んだ小説に近いということを今章における序文として、さあて続き──…の、前に余談をひとつ。


ークエルフってのはどうやら、得てして受難属性持ちらしい。近縁種たるうちの向日葵ちゃんもまた同じだったようで、道中そりゃもうトラブルには事欠かなかったよ。
たとえば、以前エンカウントしたパーティのメンバーだったウィッチが俺を見るなり襲いかかってきたり、美女だと思って声をかけたら幻術師のオネエだったり、宿屋で受付の子にちょっかい出した途端おっかないオジサン達がぞろぞろ出てきたり…そうそう、スライムの死体で滑って転んだ俺が、咄嗟に掴まったヨルクちゃんのズボンをずり下ろしちまったりもしたっけなァ。
まあなんだ、愉快な思い出だよな。ハハッ。


っと、蛇足が過ぎたか。
んじゃそろそろ仕切り直して──目的地への中休みとして機械大国ケントゥリアに入った俺たちは、故あって首都郊外の研究施設へと足を踏み入れる。そこでは以前、魔血に関する研究が行われていたとかなんとかで中略。現在は王立研究所主導の終末兵器開発施設と化していた。
それも、大陸で最も勢力を持つ五大国間で結ばれし不戦条約から外れた、いわばケントゥリアのいけない国家機密だ。
知っちまった俺たちがどうなったかは言うまでもない。機械兵の放つ銃撃を馬鹿げた敏捷性でつぎつぎ躱し、監視カメラに向けて鼻を鳴らしたヨルクちゃん(の残像)は、

「この研究所には雑魚しかいないのか?ケントゥリアも落ちたものだな!」

俊足が過ぎるあまり複数の残像を引き連れて施設の奥へ攻め込んでいく。韋駄天?摩利支天の間違いだろ。俺はといえばヨルクちゃんに反応して発動したトラップに時間差で引っ掛かりまくり、あわや首も手足も持ってかれそうになる体たらくだったってのによ…。


(気を取り直して)
末ってやつはいつも唐突に訪れるもんだ。ものの小一時間で国ごと落とした俺の嫁は、ケントゥリアを自領とし──新たな国を打ち立てたってわけさ。


ん?メ◯ゾ◯ラン◯ン?
いいんだよ、もう。本人興味なさそエルフだろうと魔人だろうと、俺の大切な太陽で、向日葵だってことに変わりはねぇんだ。そうだろヨルクちゃん?



世界線B/end


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210 :黒沼アラヒト
2022/02/21(月) 02:49


人がなにかを選択するたび、世界は新しく生まれ変わる。
世界線B/BLACK BEAUTY




兆なんてもんはなかった。だが、今にして思えば──ある夜、あいつと話をした。もしもの話だ。俺たちが、ヒトとエルフじゃなくて、別の種族だったらって話。
べつに、ネガティブな気持ちがあったわけじゃあねぇぜ。俺たちは俺たちの在り方を受け入れて、この現状に満足してる。ちょっとした寝物語まがいのもんさ。"もしも俺たちが魔族だったら"ってな。


んな話をしたことさえ忘れちまった、とある朝。目覚めるなり俺は瞠目した。腕の中にあったはずの、太陽みたいな金髪が。真っ暗闇に染まっていたからだ。
俺みたいなナチュラルブラックじゃなく、文字どおり闇に浸した漆黒。驚く俺にヨルクちゃんは言った。

「実は母方に魔族の血筋の者が──」

語る面持ちは不安そうだった。そりゃそうだ。髪の色が変わっただけならまだしも、突然にして魔族の血が覚醒したんだ。魔力なしの俺にはまったくもって分からんが、どうやら魔力の質も変異してるらしい。ハイエルフと魔族のハーフって格好良くね?なあんてお手軽に考えていた自分を恥じた。
ごめんなヨルクちゃん。不安だよな。しばらくこの街にとどまってゆっくり…ん、どうした?

…髪の色が変わったのが気になる?俺のお気に入りだったから?
はは。相変わらずかわいー奴だな。確かにそうだが、黒髪も似合ってる。皆既日食も悪くねえ。それに、俺とお揃いだぜ。嬉しくねぇのか?


日後。血の均衡が取れ、魔族として完全覚醒したヨルクちゃんの身にはいくつかの変化が起きた。
使う魔法は闇属性が中心に。時たま見せた凍てつくほどに冷たい表情とはまた違う、底冷えするような笑みを浮かべるようになった。
食の好みもそうだ。肉といえば蛙や兎、せいぜいが鳥くらいのもんだったが、今はグロい魔物の肉を涼しい顔して焼いて食ってる。俺が血を流すと嬉しそうに寄ってきて舐めとるし…ま、どんなヨルクちゃんだって、俺にとっちゃあ世界一可愛いからいーんだけどなァ。


ルフの魔血覚醒者は、ダークエルフとは性質を異にする種族だという。が、近縁種だけあって、奴らから参考になる何かしらが得られるかもしれねえ、ってのがヨルクちゃんの考えだ。
そうとなりゃあ行き先は決まった。

ケントゥリアを通過して、大陸の下端へ。目指すはダークエルフの故郷、メ◯ゾベラ◯ザン。
……。濁点多すぎて噛みそうだわ。



to be continued...
(ケントゥリア編へ続く)




"向日葵ちゃん"って呼んでもらえなくなるのが寂しい?心配はいらねぇさ。黒い向日葵だってあるんだぜ。あー、なんて品種だったかな。そうそう、確か──


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