Canelé - DIARY

少し目を離してた隙に俺のシュークリームが無くなっちまった。辛うじてまだ存在してる中身が段々と消えていくのを見てる事しか出来ねえ。あいつの中で俺との二年を整理して忘れて行ってる最中なんだろう。侘しくてもどうにか出来るもんじゃねえ。

摂津と別れて二ヶ月。決してコ✕ナ離婚とかいう訳ではねえ。長い時間一緒にいる内に慣れだとか優先順位の変化だとか、取り巻く環境の変化とか体調とか、色々と重なって思いやりが欠けてた。傍に居たい、寂しいって思うタイミングもずれてた。好きじゃなくなったとか面倒になったとかじゃなく、一緒に居るのが苦しくてまだ好きな内に別れようと思ったのがきっかけだった。
別れて一ヶ月目。最初は極端な離れ方しちまったが、離れて俯瞰してみたらあいつの優しさやいじらしさがよく見えるようになった。別れてからの方が優しくなったってあいつに言われたのは離れてみて改めて好きな所が見えるようになったのもあると思う。事実婚みてぇなもんかって言ってたあいつの言葉に安心して、やり直したい気持ちと今の関係がお互いに楽なのかもしれねぇって思いの間で油断してたらこれだ。
気持ちの整理は突然やってくる。俺との時間があいつの中で過去になっていく事、整理されて無くなっていく事、目の当たりにすると連絡手段はあるのに話し掛けるのに躊躇っちまう。きっとあいつからは連絡して来ねぇと思う。俺からも連絡しなくなって、一ヶ月、二ヶ月って段々と薄い関係になっていくんだろう。それを虚しいと思っちまうのは俺の我儘だ。