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1 :
丸井ブン太
2017/07/12 14:47
…おー、10年も経つのに、辿り着けるモンなんだなァ、不思議と。
10年、なんてサラッと言えちまうくらい、時が経った事に先ず驚いてんのと、未だ此の町が残ってる事にも。
薄情な俺は、ぶっちゃけもう無くなっちまってたと思ってた。とは言っても…全部が全部残ってる訳じゃなさそう、だな。
─…俺の記憶も、同じでさ。幾つも抜け落ちてるけど、幾つか残ってて。ふとしたきっかけで其等が重なって、此の街を思い出して、気付いたら此処に来てた。
少しぶらついてみたら、町全体はあの頃とは違うけど、俺の大切が未だ同じ場所に在った。大切、なんて、自ら此処を去って手放した俺が言える言葉じゃねーけど、大切だったのは確か。今は、思い出として残す術しか見付からない。
只、一つだけ、俺が此の町で出逢って、今も隣で咲き続ける蒼い華。此の町が無かったら、彼奴と出逢う事もなかったんだな、って。10年もずっと一緒に居るなんて、夢にも思ってなかった。これからも、
蒼い華と俺を見守ってくれていた、優しい皆。傷付けちまった彼奴も…大好きだったぜィ。
きっと皆、今はもう此処には居ないと思うけど。
届かないと思うけど…沢山の感謝を。
─…また、握手してえなァ、なんて。
俺と同じ顔した、親友に。
鳩が迷子になっちまった辺りの記憶が曖昧でさ…ずっと伝えたかったから此処で。
ごめんな、ありがとう。お前の日記残ってるの見付けて泣いた。俺は元気でやってる。どうかお前も、
（ひねくれ者の螢。依り、）
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