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静かの海
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469 :
日吉若
2009/04/07 02:59
俺はあまり人付き合いのスキルが高くはない。昔からこれは変わらない性だ。合わせるというのが苦痛だ。
カメレオンのように擬態でも出来ればいいが、生憎と俺は肌色にしかなれない。
人は難しい。どう突っ込んでいいものか図りかねて、結局は口を噤む事が多い。そうする内に次第に遠ざかる。
付き合いが続く相手は、やはり積極的なタイプだ。相手の積極性につられ、俺も遠慮をしなくなる。
あの人を筆頭に、今親しくさせて貰っている人達は皆そんな感じだろうか。
気持ちがないわけじゃない。ただ、時々俺は投げやりになる。その間は対人関係がよく疎かになってしまう。
楽さを求めてあの人の傍で静養し、漸く外へ意識が向かう。
面倒臭がりのくせに頼られるとつい面倒を見ちまう結果的世話焼きなあの人は、俺よりもよほど交友関係を保つのが得意だ。
俺の髪を右手で梳きながら、左手で誰かの背を叩くあの人を知っているが、それを嫌だとはあまり思わない。頼られるあの人を誇らしくも思うからだ。
大人しく膝に頭を預け、あの人が何やら話しているらしい声に耳を傾ける。誰かの背や肩を叩く度に微かな振動が膝まで響く。
相変わらず忙しい相談窓口だと笑いながらも、俺はそのままあの人の膝でうつらうつらと意識を濁す。
相談が終われば眠りかけた俺の前髪を梳き上げ、あの人は俺の機嫌を伺う。
拗ねたのか。寝てるのか。名を呼ぶ声音は甘く、少しだけ幼い。さっきまでの尊大さはどこへいったのやら、全く甘い恋人に変わる瞬間。それが堪らなく好きだ。
結局の所、あの人は俺のモンだ。それを知っているからこそ、必要な時にあの人の片手を使うぐらいは気にしなくて済むんだろう。
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