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Å ミソポタミア文明 Å ☆らびんゆ☆
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410 :
日吉若
2010/06/29 22:19
『熱くなれるもの』
そんなもの、無かった。
古武術は、祖父や父、兄…日吉家に生まれた男児なら習得して当然のもの。
俺にとって当たり前のもので好き、嫌い…そんな感情とは関係ない。
勉強も、運動もそれなりに出来た。
大人に囲まれて育ったせいか、同級生はガキに見える。
同じようにゲームや遊びに夢中になることも出来なかった。
小学生の割に俺は冷めていた、と思う。
ただ、『下剋上』と言う言葉だけが身体にうずき、吐き出す場所を求めていた。
古武術で下剋上。
……同世代の大会で負けることは無かった。
祖父や父、歳の離れた兄は下剋上の対象にならなかった。
無いのだ、ぶつけられる物が。
相手が。
熱くなれるものが。
初等部6年に上がったその日、何かと付きまとってくる鳳に引っ張られ中等部のテニス部を訪れた。
氷帝の中等部が強いのはしっていたが玉を打ち合う、紳士のスポーツに興味は無かった。
無かったんだ。
あいつ等の試合を見るまでは。
中学生にしては小さいヤツら…多分、新1年だろう…が
試合をしていた。
部活中にしては、異様な雰囲気。
だいたい、名門のテニス部で入学したての一年がコートで試合してること自体、おかしい。
『何故』……そんなこと、思う暇が無かった。
紳士のスポーツ?
誰が言ったんだ。
激しい。
まるで、古武術の試合を見ているかのような感覚。
一つの玉を追いかける。
ただ、それだけの行動なのに目が離せない。
しかも、ソレをしているのは自分と対して歳の変わらない少年。
見つけた。
居場所、………下剋上の場所を。
その次の日、俺はテニスを始めた。
あいつを越えるために。
中等部で演舞テニスを覚え、今はレギュラーにまでなった。
根本にあるのはあいつに対する『下剋上』。
ただ、それ以外の思いも湧いてきているのを感じる。
『下剋上』を越える、熱い思い。
一人では味わえない、何か。
まだ、あいつ…跡部部長への下剋上はなっていない。
卒業までに、とは思うが…あの人に挑むチャンスは卒業後もあるだろう。
今は、跡部部長の下で全国相手に『下剋上』したいと思う。
俺の『熱くなれるもの』
テニス・下剋上・………仲間。
2年F組19番 日吉若
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