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朝靄に消える笛の奏で詩
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489 :
仁王雅治
2009/12/12 02:04
砕け散った硝子の破片を暫し呆然と見守る。
数秒前迄は優美な括れを象った、艶やかな色彩を体躯に飲み込み薄桃色が透けて見えた、透明な硝子細工。最近一等気に入っていた香水の瓶。
滅多に手にせん甘ったるい馨だったンに、一度虚空に吹き付けたら不思議と惹き付けられちまった。後々必ず嫌に成ると言い聞かせ手に入れちまわン様に遠ざけたが、気付けば御買い上げ。
嗚呼、ずっと探し求めていた金木犀の馨の物を見付け出したにも関わらず、手には何故か甘い甘い魅惑其の物。
床に染み入る薄桃色の液体から蒸せ返る程に立ち込める、甘味色濃い空気が俺の喉を丸で撫で付けるかの様に通り抜けながら存在を植え付ける。
二度と箪笥の上に瓶は置かン。香水に消臭剤をふっかける悲しさと言ったら無か。
嗜好品が増えて行く現状。良い加減控えンとな。
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