スレ一覧
794.寿司好きのシェパードとかき氷の森(保存)
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24 :eたoいhちeょoうh(実/況)
2015/09/20(日) 23:20

腕が痛い。
人を殺して、心を殺した。そんな殺した痛みの反動のように腕が痛い。
いつからだろうか。思い返してみると、ここ一ヶ月。唐突に痛みは始まった。何でもないいつもの日の朝、小銃を握るとじんわりと手が痺れてきた。その時は調子が悪いな、なんて思って車に乗り込んだんだが、戦場に来ると洒落にならなくなってきた。構えると、ずきりと痛む。射撃姿勢を取って、用心金に指を入れ、引き金を引く瞬間。じわじわと右腕に痛みが忍び寄ってくる。弾が出て、撃ってしまうと、もう忘れたように痛みは無くなっているのだけれど。
再び唐突に痛みは始まる。左手にナイフを持つ瞬間、ピリリと痺れるような感覚が走る。咄嗟に敵をナイフでかっ裂いた瞬間、頭が追い付いてないのか数瞬遅れて左腕に痛みが走ってくる。
はじめは疲れてるんだろうとそう思って湿布なんかを適当に貼って過ごしてた。筋肉の筋を痛めてる、要は筋肉痛なんだから寝てれば治ると思っていたんだが、一向に治らない。あ軍ろ医まに相談してみたら殴られた。
「痛みってのは限界のサインなんだ」「それを無視するとかどんだけ死にたがりなんだよ」「バカ、ハゲ、クズめ」
あ軍ろ医まに殴られた顔はあまり痛くなかった。そういえば、今まで戦場で骨を折ったり色々と怪我をしてきたけれど、今回みたいに痛くはなかったなぁと思い出した。
そうして何故かお偉いさんに話が伝わり、俺は休暇を取ることになっていた。

そうして、俺の一週間の休暇が生まれたのである。

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25 :eたoいhちeょoうh(実/況)
2015/09/21(月) 21:56

休暇一日目。

朝の起床ラッパに起こされたものの、今日は休暇だということを思い出して二度寝した。気がついたら昼のラッパが鳴っていた。
ジャージの上に迷彩服を羽織ってもたもたと食堂で飯を食ってたら、最近よく見るレ鼻トル声トという人と会った。
「あれ、珍しいね」
「レ鼻トル声トさんこそ」
「残留?」
「いや、休暇」
「休暇なら外に出ればええんに」
へらりと笑った彼に、そういえばあ軍ろ医まの居る医務室に来いと言われていたことを思い出した。彼は当直の腕章を着けていたので、今日は仕事なのだろう。このレ鼻トル声トという人がキ輩ヨの言っていた知り合いだということが最近分かった。
あまり美味しくない昼飯を食べ終え、部屋に戻ったらまた眠くなったので寝た。目が覚めたら夜で、とっくに夕飯の時間も過ぎていた。それに、あ軍ろ医まから「いつ来るんだ」という連絡も来ていた。「明日行く」と返事を返す。
「体の調子は」
「首が痛い」
「寝すぎだろ」
「なんで分かった」
「分かるに決まってんだろ」
眠くなったのでまた寝ることにする。今日は寝てばっかりの一日だ。

別口の話なんだけど。
砂時計って文字を見て、カップ麺作るのに便利だなと思った。あと、筋トレと体幹トレの時間計るのにも便利そう。あと射撃練習とか。

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26 :eたoいhちeょoうh(実/況)
2015/09/22(火) 20:10

休暇二日目。

今日はちゃんと起きてあ軍ろ医まの居る医務室へ行った。何だかよく分からない動きをさせられて、よく分からない治療をした。よく分からないながらも良くなったような気がする。
気がするだけかもしれないので、射撃場に行って確かめてみた。
「………」
一発、二発。射撃シュミレータで撃ってみる。
まだ痛い。が、何となく薄れたような気がする。明確な違いが俺には分からなかったが、あ軍ろ医まが良くなっているというのなら良くなっているんだろう。それに、痛みが薄れる以上に体が軽くなっているので、戦場に出たら普段よりも動けそうだ。
ついでに腕立て伏せとか懸垂とか体を動かしてみた。体が軽い。これなら射撃と格闘以外で自己ベストを更新できそうである。……その二つが駄目なら軍人として駄目なのだが。
戦場にいたときは早く休みが来ねえかなーなんて思っていたけれど、いざこうして休暇(しかも長期の)を貰うと暇だと思ってしまう。二日目にして退屈していた。昼寝をしてしまえばあっという間に時間は過ぎるんだろうけど、昨日したばかりだしつまらない。散歩しながらやることを探すことにした。体を動かしても良かったのだが、動かしすぎるときっとあ軍ろ医まに怒られるので今日はしない。
「図書室」
枯れ葉が少しずつ落ちていっている道を歩いていると、そんな建物が目に入った。正確に言うと売店やらなんやらの複合施設なのだが、その時の俺には図書室という文字しか目に入らなかった。
やっているのかさえ分からない、電気のついてない建物に入る。広いラウンジと壁には本。新しい駐屯地に来てから訪れたことがなかったのでキョロキョロと見回して適当に本を物色する。
そういえば、皆と一緒に新しい駐屯地に来た時の話はしてなかったな……。いつか話すか。閑話休題。
立ち読みしたり、読みたかった本を見付けてじっくり読んだり。気が付いたら何時間も時間は過ぎていて、既に夕飯のラッパが鳴っていた。俺は本を戻して飯を食いに行った。
そんな訳で、良い暇潰しを見付けた。

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27 :eたoいhちeょoうh(実/況)
2015/09/23(水) 21:00

最近面倒で軍ものとすら書かなくなってるけど、俺が隊長のときは軍ものなんでよろしく。
というか、使ってるのが俺ばっかになってるの表紙キャラ詐欺じゃね?変えるべきかもしれん。

休暇三日目。

朝、あ軍ろ医まのところに行く。これは休暇中の日課にしなければならないらしい。めんどくさい、と言ったら「そのための休暇なんだからな。来なかったらその腕折ってやる」と言われてしまった。
今日も食堂でレ鼻トル声トさんに会った。
俺がまたぼんやりテレビを見ながら飯を食っていると「ここ、空いてますか」と前の席に立って笑いかけてきた。黙って頷くと目の前に座って食べ始めた。レ鼻トル声トさんは知り合いといえば知り合いだが、階級も部隊も違うし正直言ってあまり接点は無かった。俺は少し緊張して目を伏せながら食べたが、レ鼻トル声トさんは嬉しそうに俺に話し掛けて来る。
「今日も休み?」
「ええ、まあ」
「長いの貰ったんやね。いつまで?」
今週末まで、と言うと彼はいいなあ俺も休みたい、と当直の腕章を恨めしげに見た。俺の怪我を知らないので当然の反応だろう。俺も休暇と聞いてちょっとラッキーと思った位だし。
「レ鼻トル声トさんって、会計科なんですか」
ふと胸の名札が目に入り、聞いてみた。聞いてから、今更な質問に気が付き恥ずかしくなった。
「そうだよ。eたoいhちeょoうh君の話は会計科にまで届いてます」
へらりと昨日と同じように笑った彼は特に気分を害した風でもなく言った。
「会計ってどんなことするんですか?その、給料計算以外で」
「それ以外?うーんと……君らのお弁当を手配する業者決めたりとか、君らが何気なく使ってるペンとか地図とかを買う値段を決めたり、それを支払ったり。かな」
地味だけど、イマドキ何でもかんでも徴収徴兵なんて都合良く行く時代やないからね。と苦笑したレ鼻トル声トさんはいつになく饒舌に会計科の仕事の説明をしてくれた。
「小切手も切れるってことは金額いじったり自分の口座に入れたりとか」
「出来るけど、出来ないことは無いけどさ、そしたら即バレて俺クビや」
「俺の給料上げるとか」
「無理に決まってるやろ!」
ごちそうさま、と彼が手を合わせて俺も食器を片付ける。食堂を出てじゃあまた、と言われて俺は彼の目を見た。
「職務、楽しいですか?」
「え?」
「会計科で良かったって思いますか」
「……楽しい、かな。うん、楽しいわ」
彼は目を丸くして驚いて、でも腕を組んで考えてくれた。
「俺運動とか得意な方じゃないし、頭もあんま良くないけど。会計科の任務を全うすることに誇りは持っとるよ」
今度こそまたな、と手を振ってレ鼻トル声トさんは去っていった。

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