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┗The box filled with laugh(6-6/6)

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6 :あまい話
08/03-04:46

「ねぇねぇルート、知ってる?」
#「…何をだ?」
 「世界中のお菓子屋さんの中にね、一人だけ魔法使いがいるんだってー」
#「……魔法使い?」

>訝しげな問い掛けを気にも止めず、楽しそうに手を動かす彼が笑います。
>目の前のテーブルには切り株のような、大きな…何か。
>かしゃかしゃと音を立てて掻き回すのは、買って来て貰った生クリーム。

 「そう、魔法使い。一度食べたお菓子を、完璧に再現出来るんだってさー」
#「……そうか」
 「すごいよねえ、魔法使い!」

>べしゃっ、と、普通のケーキに対するよりは余程乱暴に、泡立てた生クリームが上に載せられました。
>土台はというと、びくともしません。

#「…今作ってるのはケーキじゃないのか?」
 「あ、これ? これはね」

>ふふふ、と楽しげに笑って、くるんと巻いた髪の一本が揺れて、彼が振り向きます。
>彼が着ているエプロンは、なぜか色とりどりに染まっていました。油絵の具でもついたかのように。

 「ウエディングケーキだよ!」
#「…スポンジではないように見えるが」
 「スポンジだと自分の重さで潰れちゃうからねー」

>鼻歌混じりに作業に戻り、ぺたぺたと表面を整えていく作業を、静かに見ていた方も小さく笑います。
>目を細めて、ほんの少しだけ口角を上げて。

 「これは作らせてもらえる事になってよかったよー」
#「…これは、?」
 「うん、デザートに出すケーキはダメって」
#「…どうしてだ?」
 「……コンビニの真似したら怒られちゃって…。味は完璧だったのになぁ…」

>てきぱきと作業をしていた彼が、しゅんと肩を落としました。
>それを見て呆れたような表情で口を開きかけたもう一方でしたが、眉間に皺が寄り、一旦口をつぐみます。

#「……フェリシアーノ」
 「なにー?」
#「…コンビニのケーキのレシピは公開されているのか?」
 「されてないよー?」
#「……お前、」

>言葉を遮るように、がしゃん、がらがら、と大きな音が響きます。

 「ヴェー!生クリームひっくり返したー!」
#「……」
 「あ、ルートさっき何言おうとしてたの?」
#「…いや、何でもない。とりあえず片付けは手伝わせてくれ」

>ごまかすように要求して、言おうとした事は飲み込んで、
>まるで親が子供にするように、ぽんと頭を撫でてから片付けが始まります。
>甘い香りが漂う中で、二人で、楽しげに。

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