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267.勝手にアイス食うな。
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35 :月島蛍
2020/03/25 00:31



〆 物件探し②


休みの日に例の物件を紹介していた不動産屋へと二人で行き、部屋を見せてもらった。
利便性はばっちり。陽当たりも、部屋の広さも収納スペースも言うことなし。けれど行く前に一度電話で問い合わせした僕たちは、不動産の人から価格の理由を聞いていたので一つ返事では決められずにいた。

日向「多分この部屋だよな…全然そんな感じしないのに」

部屋を一通り内見し終えた僕らは、リビングに戻ってきて隅を見た。白い壁紙は明らかに張り替えたばかりの純白で、逆にそれが妙にリアルで。
価格の理由は自殺だった。死に方までは詳しく教えられていないが、それが『部屋の中で』ということと、『その場所はフローリングから壁紙まで全て張り替えている』という不動産屋の言葉からリビングだということは内見してすぐにわかった。
日向も僕も今まで不思議体験はしたことが無かったし、しばらく内見して特に違和感は無かったしで、話し合った結果、ここに決めることにした。決め手はやっぱり、事故物件だということ以外の条件が良すぎたことだ。

ここからが幽霊騒動の始まり。

(!アテンション!)
(※背後の実体験、友人知人の体験話を含む互いのハプニングの応酬が飛び交うのでホラー表現苦手な人は注意※)

不思議体験・1
引越しの日。管理人から鍵貰い、玄関先で荷物を受け取った僕らは、玄関のドアを開け放して外に置きっぱなしの荷物を部屋へ入れ込んでた。マンションは7階の角部屋で、隣の部屋との間隔はそこそこある。住人の邪魔にならないようまだ部屋に入りきらない段ボールを通路の奥に寄せた。

日向「そういえば、この地区のゴミの日っていつなんだろ?」
ボク「ああ、聞くの忘れたね。紙は……ポストには入ってないか。後でゴミ捨て場見に行く?」
日向「あ!あの人に聞いたらいんじゃね!?」

すみませーん!と日向が玄関の方へ声を掛ける。誰か来たのかと思い、開け放たれているドアの方を振り返ったけど、そこには誰も居なかった。
誰かいたの?と聞くと、「通り過ぎちゃった。聞こえなかったのかな?」と日向が廊下を確認しに行くが、やっぱりそこには誰もいなかった。隣の人だったかもしれないと思って、次会ったら挨拶しようと日向と話し、また荷物の入れ込みを再開した。
ーーそしてふと、疑問が浮かぶ。

ボク「ねぇ日向。さっき通り過ぎたって言ったけど、おかしくない?」
日向「なにが?」
ボク「ここ、角部屋だよ?」

エレベーターから降りて通路は一本道。それも今は通路の奥に段ボールの山があるのだから、通り過ぎるわけがなかった。

ボク「……見間違えじゃない?」
日向「でも、確かに見た!奥の方に歩いて行ったんだよ!赤い服着て、髪が少し長めで、ちょっと化粧の濃い感じでさ!赤っぽい靴も履いてたし、見間違うわけないって!」
ボク「…日向、一瞬だったのになんでそんなにハッキリ特徴が分かるの?」

日向は分からない時の困った顔で、「そういえば、なんでだろ」と言った。背筋に嫌なものを感じた。
その後僕たちは早々に段ボールを全部部屋に入れ込み、玄関のドアを閉めた。意味があるのかわからないけれど、しっかりと鍵も閉めて。



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