日記一覧
267.勝手にアイス食うな。
 ┗79

79 :月島蛍
2020/05/30 23:01



〆 幽霊②


影山のトンデモ発言によってすっかりびびり倒した僕らは、それからしばらくネットで調べた『素人でも出来るお祓い』を色々と試し始めた。
二人で神社に行く。部屋の四隅に盛り塩を置く。互いの肩に塩を振りかける。扉に霊が嫌いな鈴を付け、定期的に音を鳴らす。消臭スプレーを部屋中に振り撒く。…最後のは効果があるのか疑わしい所だけど。
そもそも見えたのは影山で、僕と日向には一切見えないのだからこれらが効果があったのかどうかさえわからない。でも僕の部屋に入っていったという目撃情報があったのだから、一人で自分の部屋で過ごすのは抵抗があった。

日向「月島、今日もこっちで寝る?」
ボク「………寝る」

その間、僕は日向の部屋で寝た。日向はベッド。そのベッドのすぐ下に来客用にと実家から持ってきていた敷布団を敷いて、自分はそこに。

日向「じゃあ電気消すぞー」

暗闇だけど、日向が同じ空間にいると思うと安心出来た。僕からは日向の部屋に避難させて欲しいと言い出せなかったから、日向から言い出してくれたのはすごく助かった。日向も日向で一人は嫌だったみたいだケド。
付き合ってからと言うもの軽いスキンシップはあれど実はキスもしていなかったものだから、同じ空間に居るとなんだか意識して鼓動が早くなった。そんなことを考えられる程安心できる状況で無いことはわかっていたけれど、好きな相手がすぐ近くにいるこの状況は、ドキドキしないワケが無かった。

日向「…なぁ月島」
ボク「…なに?」
日向「色々試したけどさ、効果あったのかな」
ボク「……さぁ。わかんないケド、全部やったんだし少しはあったんじゃない?」
日向「あ、あのさ、あと一個知ってるんだけど……」

暗闇の中で日向がもそりと起き上がり、僕を見下ろしたのが分かった。

日向「え、えっちな事すると…幽霊は逃げてくってやつ…」

息が止まった。
突然すぎるまさかの言葉。一体どんな顔でそんな事言ってるんだと思った。
質の悪い冗談かとも思ったけど、ベッドへと手を伸ばして手探りで触れた日向の手はこれでもかと言うほどに熱くて、思わずぎゅっと手を握った。
いいの、ってようやく絞り出した声に、日向がコクンと頷いたのがベッドのスプリングの揺れで伝わってきた。

日向と一緒の部屋で寝る、三日目の夜のことだった。


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