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┗120.郷 愁(208-212/212)

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208 :ライナー・ブラウン
2015/05/18(月) 02:36


夜毎

思えば似合わねえ事をしていた。其れが終わりのない悪足掻きだと気付くのは一頻り暴れ倒した後の疲労感に苛まれている瞬間、負の連鎖は溜め込んだ分だけ止まらんものだ。

求めていないものが立て続けに舞い込む事があれば、幾ら願っても手に入らんものがある。影響を及ぼさないと云う事の意味を、考える。


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209 :ライナー・ブラウン
2015/05/24(日) 04:05


木漏れ日

終幕の音色は唖然とする程、颯爽と駆け抜けた。
こうなる為の覚悟はあった。だからこそ動揺する程の感慨はねえと思っていた。まさかこれ程とは思って居なかった。誤算だったが、思えば当然の事だ。どれだけ距離が開こうと、どれだけ声の聞けない夜が続こうと、しっかり胸に抱いて居たのだと思った、お前を。如何に足掻こうが好いていた。それだけの事を、この碁に及んで沁々実感する。お前が言った通り、もう何度叫ぼうと俺の声がその鼓膜を震わせる事はねえんだな。幾ら声を嗄らしたとて聴こえる事のない二文字は、これより先は噛み砕いて飲み干そう。

こうなる為に伝えておくべきだった。
溢れる程に、何度でも。


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210 :ライナー・ブラウン
2015/06/14(日) 06:09


生きる眼

滑稽な事だ。蚊帳の外となっちまえば自分の瞳の程度を知る。物好きも大概にしなきゃならねえ。そう思いながら嘗ての己に語り掛ける。見えて居たんだろう、其の眼には。今の俺が知り得ねえ価値を見出して、慈しんで居たんだろう。そいつはどんなに時を経ても変わりねえ事実だ。俺が変わったのか、お前が変わったのか。恐らくは、


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211 :ライナー・ブラウン
2015/11/11(水) 09:38


腕を引く

前に進めないのだと話をせがまれたのは初めての事だ。しかも第三者に。人を信じられねえのは仕方のない事だと思う。それだけの経験をしたのなら尚更だ。だが、俺はそんな経験ってのをして来なかった。材料が揃えば信じる、仮に裏切られたとしても裏切りだとは認識しない。そいつは全て自己責任だからだ。他者の所為にするってのは、八方塞がりの狭い空間の中で、開きもしねえドアを何度も力任せに叩く感覚に似ている。


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212 :ライナー・ブラウン
2016/06/05(日) 05:02


死に目

気付いた頃には、思考の全てが理解出来たような気がした。否、それは驕りか。思考回路が解るようになったと言う方が正しい。理解とは、同じ目線でものを見、其れをそいつと同じく捉える事だ。無論、俺にはそんな力はない。別の心臓で動き、脈打つ速度も違う、別の人間だ。だが何故か、お前が俺の許を去る頃には全て解ったような気でいた。

羊水の中に居るような気分だと謂うお前の声が、今でも耳に残っている。あれにとっての安息は、平穏ではなかったに違いない。


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