思えばあんな風にお前に触れたのは初めてに近かった。今迄は普通に抱き締め合って体温を感じてる内に二人して寝てたり、キスしたらそれだけで幸せだったり、年齢的に我ながら清い関係性を保ってた筈なのに。

今迄そう言う事を考えた事が無かったと言えば嘘になる。ただ、オレとお前は顔の作りがほぼ同じだし、違いと言えば髪色と瞳の色位だから単純に自分がそう言う事をされてる場面にしか行き着かなくて、途中で恥ずかしさ倍増してた。別に避けていた訳でもねぇけど、あんまり実感が湧かなかったのも正直なところだ。お前がどんな顔をするのか、どんな風にオレを求めてくれるかなんて想像はしても思い付かなかったんだよ。

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狡いのはどっちだ、馬鹿。

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そう言えばお前の視界を奪う為に投げたシャツ、実はもう一つ理由があったんだ。気付いてるか？

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続き。思い付きはしなかったけど、そんな風にお前に触れられたら幸せで幸せでどうしようもねえんだろうなって、そう考えてたよ。