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368.REBIRTH【R20/現パロ/特殊設定/捏造注意】
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5 :Erwin Smith
2014/11/03(月) 23:45

目の前に現れた彼は、私の記憶そのままだった。
正確に言えば雰囲気は少しだけ変わっただろう。だがその姿はまるで生き写しのようで、衝動的に攫ってしまいたくなるのを抑えるのに苦労した。
『早く終わればいい』
仕事の一環である食事の席でこんなにもそう願った事はない。元々仕事以外に急いでやる事も、やりたい事もない。………人類の為に心臓を捧げる使命のない自分は、なんともつまらない男のようだ。
漸く終えた拷問のように長い時間を経て、送迎の車へと乗り込む時に彼を誘った。
私を覚えていようがいまいが上司の手前誘いを断る事など出来ないだろう。だが私には確信があった、彼も私を覚えているという。

案の定私を認識していたらしい彼は上司の姿が見えなくなった途端随分とリラックスした物言いで話しかけてきた。それはもう、姿以上に生き写し…いや、リヴァイそのままだった。
この時を何度願っただろうか、何度想像しただろうか。それは私のこの、妄想ではないかと自身ですらも疑うような記憶を確信へと変えてくれる光でもあった。
それが他でもない彼でだった事にどれ程昂ぶりを覚えただろうか。

彼の記憶は何よりも鮮明に覚えている。いつだって私を支えてくれた、それは精神的にもであったように思う。そんな事など露にも思っていないだろう。…そもそも、そのような感情は全て隠してきたのだから当たり前だが。
この気持ちを…今なら伝えられるのではないだろうか。もう巨人もいない、生きることに命がけの時代ではなくなった。彼を支えるだけの地位は築いてきた。多少の苦労はあっても、昔とは違う。

今なら、すべてを手に入れる事が出来るのではないか。

ゆっくりと彼の心を溶かせるような努力をしよう。
………そう思っていた、筈だった。



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