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73 :スウェン・カル・バヤン(C.E.73 STARGAZER)
2010/12/21(火) 20:53


中佐、御呼びだと………――部屋、間違えたか。
呼び出しに遅れるなど、あってはならない…!

…話をすれば、出られるんだな…了解した。

……そうだな、幾つか候補はあるが…一つ。


あれは、いつかの任務の帰りだったな…。
天候は最悪、酷い雨降りの夜。
あるトンネルに入る前、ふと傍らの川の存在を思い出した。
身投げの名所で、上流から身を投げ出す者が後を絶たないと言われて……いる、今も。
川の最終地点はダムのようになっていて、其処は身を投げると遺体が上がって来ない場所だと聞いている。
霊感があるのか何なのか、普段は何も感じないものをその時だけは嫌な感じがした。
そのままトンネルを通れば良かったものを、態々トンネルを避けて脇道に入った。


…数分進んだ所だ、一つの電話ボックスが視界に映った。

その近くには東屋があり、一人の女性が座っていた。…東屋の屋根があるとは言え、激しい雨の中にたった一人。場所が場所なだけに身投げするんじゃないかと車を停めて声を掛けたが、…彼女は薄く笑うだけ。ただ不気味で、悪いとは思ったが早めに其処を離れる事にした。


…もうすぐ広い道に出る、そう思った時だ。

不意に、ハンドルを取られた。
右側から強い力で圧力を掛けられたような、不可解な感覚に思わずブレーキを踏んだ。
何とか車は止まったが…ルームミラーに見てはいけないものが映り込んだのを今でも覚えている。


>東屋に居た、あの女性だ…。


相変わらず薄く笑って、ミラー越しに此方を見つめていた。
思わず、咄嗟に車を降りて愕然としたな…。


>…あと少しで、例の川に車ごと落ちる所だった。


後日聞いた話だが、あの川には昔…鉄道があったそうだ。
過去に大きな脱線事故があり、被害者はかなりの数だったと。…あの女性は、被害者だったのかもしれないな、…寂しかったんだろうか。
因みに遺体が浮いてこないのは、川の中に幾つもの穴が空いているからだそうだ。…其処に引っ掛かってしまうんだろうな。

…こんな所だ、あまり怖いものではなかったか。


#――スウェン、何処行ったの!遅れるわよ!

う…――い、今行く、そう怒るな…。

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