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東方逃現郷
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ライゼス(創作♀)
2016/09/27(火) 01:24
「悪魔って、どういう事よ…。さっきの突然変異でもしたような凶暴な動物といい、なんだか異常だわ、この環境は」
知らず知らずのうちにであるが、窮地を乗り越えた後もまだ気分は昂揚し、頭の急激な発熱を自覚するほどに、ライゼスは熱くなってしまいがちな性質をしていた。
颯爽と二人のピンチに駆けつけていながら、『悪魔』という比較的マイナスイメージのある象徴、それを決して冗談とは言わない相手。
その唯一混じる不純な点が気に掛かり、第一印象の潔白さがあっても、決して彼女の事を信用しきれずにいた。
だが、振り返る謎の少女の物悲しげな表情に、先の凶暴な動物と同一視していたような物言いを、自らが気付かされる。
「……ごめん。本当に天使様だったなら、きっともっと素直に感謝してた。それくらい、助けて貰って嬉しかったわ…。現金かしら、私…」
「いいの、こちとら長い事悪魔やってたのは伊達じゃないんだよ、ちょっとしたお節介を焼くのも慣れてるからね。礼には及ばないよ」
彼女は気丈な笑みを向けて、此方を見返す。
己の存在がどこか異質である事を、彼女自身も分かっていて、それを隠そうとしたのだ。だからこそライゼスにもその事に気付いた。
やはり、全てを鵜呑みにするまでには至らないものの、本当に礼は要らないつもりで此方を助けたという事と、それから正直すぎるくらいの心を持っている事も。
「ここまでくれば大丈夫かな。それで? 何で君たちはあんなところであんなのに襲われてたの?」
「そ、その。今までに見た事もないような、全身凶器の動物だったから、水を飲んでるところを追い払おうとして、牽制のつもりで石をぶつけた…から」
「…言うまでもなく、貴方のせいだよ、それ」
「ご…ごめんなさいっ…」
「貴方は…こっちの翼の生えてる子のように詳しい訳じゃないのに、一体どうしてそんな事を…?」
「だ、だって、右も左も分からない場所で、水辺のほとりで佇んでたら…いきなりあんなのが隣に出てきて! 誰だって追い払おうとするでしょ?」
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