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東方逃現郷
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幻月(東方旧作)
2016/09/27(火) 01:26
とりあえず事情を聞いてみれば、あまり気に食わない状況であったからと攻撃を仕掛けたことが申し訳なくなる真実が明らかにされて。
流石に呆れを隠せず、ため息を一つ。ただ水を飲んでいたそれだけで襲われたのであれば、はぐれも何もあったものでない。
たぶん、喉が渇いたから相方たちから離れて、水場に出向いたところで突如石を投げられたようなもの、なのだろう。
「はぁ……。しょうがないなぁ――。貴女達はちょっとここで待ってて、誤解解いてくるから。
このままだと、此処をやり過ごしてもあの妖怪の仲間に狙われ続けることになるしね」
「待ってて、って――、ちょ、狙われ続けるってどういうことよ!?」
「……普通、仲間が何もしてないのに暴力振るわれたなら、怒るのが当然じゃない?」
踵を返し、先程の妖怪の居た方へと向き直る。
その背に、しどろもどろに言い訳を続けるライゼスと、呆れたように指摘するアイリスのやり取りを聞きながら、来た道を戻っていく。
まぁそれなりの対価か、落とし前をつけるかはしなければならないだろうが、
一方的な状況を見て攻撃を仕掛けたのは少々、ひどい話である。
悪魔としては、当然放置していい問題ではない、といえば万人に呆れた顔をされるが。
生まれついての性質なのだ。それはライゼスの過剰な警戒意識と同様、当人にはどうしようもない。
――――そして、十数分後。
幻月は、三度同じ道を歩いていた。
幸いにして幻術の効果がまだ続いていたこともあり、件の妖怪と再度顔を合わせるのは難しいことでなかった。
当たり前だが、怒りを露わに威嚇する相手に追撃に来たのでないことと、
誤解があったことを素直に話し、平謝りを続けることしばし。
まだ少し不満そうではあったものの、自分に免じて――ということで、妖怪と対話して何とか許しを得ての帰り道。
……思い浮かべるのは、先ごろの少女二人のこと。
推測でしかないが、あの二人はおそらく外の世界から来た人間。
「忘れられた」のか「呼び込まれた」のか、どっちなのかはわからないけれど。
どうするにせよ、このまま放置しておけばまた今回のような問題を起こしうるし、
そんなことを続ければいつかは死んでしまうだろう。
……ちらりと頭の中に、最愛の妹の顔が過ぎる。本当ならすぐにも探しに行きたいところだし、
自分の状態を考えるならそれが最優先事項であることも判る。
それでも、困っている――否、今はそれほど困っていないかもしれないが、
将来的に間違いなく困る彼女たちを見捨てていくことは自分にはできそうもなく。
――心の中で、一言妹に謝る。
それは事実上、次の――今後の自分の行動を、自分の中で定めたのに他ならない。
つまり、彼女たちを元の世界に返すなり、幻想郷に馴染ませるなり、一先ず安全になるまで守り導くということを。
それが悪魔としての役割だと一人納得して。
――やはり、万人が首を振るだろう結論に至ったところで、ちょうど二人のところに戻れたようである。
「ただいまー。とりあえず何とか誤解は解いてきたけど……。
無闇と暴力振るうんじゃホント危ないんだから、今後は気をつけてね?」
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