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東方逃現郷
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16 :
幻月(東方旧作)
2016/09/30(金) 22:17
「ふたりがどんな世界から来たのかは知らないけど。
まぁ、平和な世の中でのんびり過ごしてるだけの人間は、そりゃ弱くもなってくよね。身も気も弛むだろうし。
でもね、人間にとっても天敵と言える存在がいたりするなら、そりゃ生きるために必死になる。
自分が生きるため、大切な人を守るため、どうしたって強くならなくちゃいけない。
――人里のみんながみんなそうってわけじゃないけど。人里の自警団は、正直強いよ?
わたしでも、今の状態となると束になってこられちゃまず勝てないくらいにね。
……悪魔が人間との契約を求めるのは、そんな人間の強さを、輝きを間近で見たいから――
とかなんだろうなって、ちょっと想うよ」
自分は、契約者を求めるようなタイプではないけれど、と断って話を結ぶ。
……内心で、自分が知る人里も――そして、幻想郷の話も、随分と昔のことであって、
今もそうだとは限らないのだけど、とこっそりと付け足してはしまうが。
少なくとも人里までたどり着けば、今置かれているようないつどこから襲われるとも知れない、
という状況からは解放されるとわかったからだろう。
ようやく少しだけ安堵した様子を見せるふたりに、敢えて不安にするような情報を聞かせたくはない。
「――でも、幻月って自称悪魔って割りに、そうした人里のことなんかも随分と詳しいよね?」
「自称じゃなくて、本当に悪魔なんだってば。
流石にもう生きてないだろうけど。むか~し、まだヤンチャしてた頃に知り合った人間がいて、ね」
思い出されるのは、空飛ぶ亀に乗った巫女と、
妙な言葉づかいをするオールドファッションの魔女。
負けこそしなかったものの、自分の中では実質的に負けたと言っていい勝負だった。
只の人間二人を相手に。……アレほど忌み嫌った本性を発揮しなければ、妹一人守れなかったのだから。
――苦い気持ちを飲み下し、本人は生きてないにしても子孫くらいには会えるだろうか、
と少しだけ期待を持ちながら――。ようやく人里が見えてきたことに安堵する。
「見えてきたよ、あそこが人里。――まぁちょっと二人の目からすれば遠いかもしれないけど。
……抱えて飛んでいければ10分かからないんだけどねぇ」
そうもいかない、と苦笑しながらふたりに人里の方を指差してみせる。
飛んだ場合の到着予想は立てられるものの、歩きでは正直どの程度かかるか自分には検討もつかないが。
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