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東方逃現郷
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20 :
アイリス(創作♀)
2016/10/09(日) 21:20
「……いささか納得しかねるが、それはこの際置いて置こう。話が進まないからな」
「見たまんまなのに何が納得できないのさぁ。まぁいいけど」
自分の常識と、目の前の現実とのギャップに頭痛をこらえるような仕草を見せつつ慧音が仕切りなおすと、
幻月もまた納得は行っていなさそうな様子ながら素直に聞く体制に移る。
今論ずべきところは後ろの二人の処遇であって、自分自身の悪魔であるという証明ではないと幻月もわかっているのだ。
甚だ遺憾ではあるのだけれど。
「アイリスにライゼスだったか。君たちも大変な目に遭ったようだが、ひとまず彼女のような者に出会えたのは運が良かったといえるだろう。
だが、あくまで彼女が特別であって、普通の悪魔が皆彼女のようなお人好しだとは思わないでくれ」
「……あれ? ひょっとしてディスられてる?」
首を傾げる幻月に応えるものはない。釈然としないものを感じつつも黙っているしかない幻月であった。
「さて、まず初めに言っておくことは私は君たちのこの後の身の振り方についてあれこれというつもりはないということだ。
ここに残るのも、その自称悪魔についていくのも、あるいは別れて自分たちで旅をするのも全て君たちの好きにするといい。
まぁ最後のはあまりお勧めはしないし、里に残るというのであれば最低限くらいの便宜は図ってやれるがな」
「はい、さっきから私の扱いがひどくないでしょうか」
「気のせいだ」
しれっと流す慧音。取り合ってもらえなかった悪魔はいじけて頬を膨らませている。悪魔がゲシュタルトブレイクした。
「……どうする? 身の安全を考えればここに残るのが最善よ。
読み取り辛いけど、彼女からも何か底知れない力みたいなのは感じるし、
里の人たちの様子を見るに新参者だからって虐げられたりはしないと思う」
ライゼスの言葉に慧音がひっそりと感心したように目を細める。
そんなささやかな変化に気づいた様子なくライゼスとアイリスはしばし沈黙を保ち――
「私は……幻月と一緒に行こうと思う。ここにいればきっと安全だって言うのはわかるけど、私はやっぱりあんなことがあっても私の世界に帰りたいから。
……それに、助けてもらったお礼もできてないしね」
どこか照れたように結論を出したのであった。
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