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東方逃現郷
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幻月(東方旧作)
2016/10/13(木) 19:02
「――ついでに少し指摘すると、ライゼス。それを言うならば、時期相応ではなく、時期尚早だな。
相応では、既に機は熟した、という意味合いになってしまうぞ」
「し、知ってるわよ! 国語の教師なの!?」
「一応、全科目の教師は務めている身だが」
淡々とライゼスの言葉の間違いを指摘する慧音と、真っ赤になって食って掛かるライゼス。
そんなやり取りを眺めながら、なるほど、先生と言うのは伊達でも冗談でもないんだ、と一人納得するアイリス。
状況も忘れて、和やかな時間が流れるのも束の間。
何やらずっと考え込んでいた幻月が、おもむろに口を開く。
「……ライゼスは、妖力の感知能力みたいのがあるのは解ってる。
アイリスは、風を読める能力があったみたい。
この辺、何かの能力の片鱗というか……、きっかけになったりしないかな」
「感知能力はともかく――、風、か。
山の神社に行けば何らかのヒントは得られるかもしれないな」
「――どういうこと?」
「いや何、妖怪の山の山頂に守矢神社、という神社があってな。
其処で祀る神が、風神……ではないようだが、風に纏わる神であるらしいんだ」
風に纏わる能力のヒントを得るにはうってつけの相手ではあるだろう、とな」
慧音の説明に、幻月も納得の顔で頷く。
風を操る――といえば天狗であり、過去に天狗に剣術を学んだ武士が居る、という言い伝えもあるくらいで。
天狗が人間に何かを教える、というのも珍しくはない――かも知れないが……。
如何せん、悪魔一人と外来人二人、彼らにとっては「格好の種」になるという自覚はある。
……敵対的な接触にはまずならないだろうが、できるならあまり関わりたくはない。
「神様、かぁ……。判ってたけど、ホントに異世界に来ちゃったんだ、って感じ」
「それに神様なんでしょ? 何だかんだ言っても、ご利益とかありそうだし、一石二鳥じゃない」
悪魔だ妖怪だ、と言ってみてもいまいちピンと来なかった二人からしても、「神」という言葉の存在感は抜群だったようである。
特にライゼスは、一応の安全地帯である人里を一時的にでも離れることになることに気付いてか気付かずか。
嬉々とした様子で、山の神社に向かうことに肯定的な意思が見て取れる。
アイリスにも異存はなさそうだと判断すれば、幻月もまた、次の目的地を改めて定め――。少しだけ表情を改める。
「……それじゃあ、とりあえずはその守矢神社に足運んでみようか。
結果がどうなるにせよ、一度戻ってくるつもりだけど――ねぇ、慧音」
「ん、どうした、白い悪魔?」
「……わたしが居ない間に、もし『メイド服着たわたし』が現れた場合――絶対に、荒事にならないようにして。
……まぁ、過度に非礼な接触されなきゃ、愛想無くても危険もない、とは想うけど。
今は、その、ちょっと……。いきなりわたしが消えたって認識で居るだろうからね……。
第三者の仕業を疑って、相当ピリピリしてると想う……。犯人見つけたら、悪・即・斬ってレベルで」
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