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13 :
アリシア・セレス(創作
)
2017/09/13(水) 15:56
真夜中。
何だか寝付けないみたい。暫く来なかったこの部屋に足を運んで、古ぼけた日記帳を掘り起こして、埃の被った表紙にふうっと息を吹きかけてみたの。
こんなタイトルだったかしら。やぁね、それに三日坊主じゃない。私らしいといえばそうなのだけど。
ペェジを捲る手。
見慣れた私の文字。
私の顔を照らすのは、橙色の淡い光。
ペェジを捲る手は止まらない。
いつしかセピア色になってしまった私の恋。
最期の命を刻むように叫ぶ蝉の声。
ペェジを捲る手は止まらない。
懐かしい思い出。
紙とインクの匂い。
ふと、
ペェジを捲る手が止まる。
見慣れない雑な文字。まるでメモのような走り書き。それでもどこか真っ直ぐな文字。
もう!!!来たのならこんな落書きだけじゃなくて私にその無愛想な悪人面を見せてくれればいいのに!
…どうせ貴方のことですもの。窓からコッソリ泥棒みたいに忍び込んだから私に堂々と顔見せできなかったのでしょうけど。
きっと貴方は今でもフラフラと”何か”のために”何か”をしているのでしょうね。
貴方が執事の真似事をしていないですって?当然よ、貴方を雇う懐の深い主人なんてこの世に一人だけですもの!
私は今も変わらず。お生憎様だけれど商売もずっと右肩上がりよ。世の中は何でも自動化みたいだけれど、私は自分の足と目と体で仕事をしているから、体がいくつあっても足りないの。
貴方は常に今を生きてる。見えているのは前だけ。今も昔も変わっていないのね。…まぁそのうち背後からバッサリ切られないことを祈っておいてあげるわ。
乙女の秘密を覗き見た貴方の罪は重いわよ。しかもこんな恥ずかしい日記帳を。そうね、罰として破って火に焼べてもいいけれど…
その代わり、貴方は歩き続けて。
足が捥げても、四肢が拉げても、貴方が目的を果たすその時まで。命の灯を絶やすことなく必ず歩き続けて。
「冒険譚を聞かせに来て」なんて、貴方は私が言うと思ったかしら?残念、もう可愛い少女の私は死んだわ。
私も歩き続けているわ。鋏が足を刺して動けなくなっても、手指が折れたとしても。私は糸を紡ぎ続ける。
親愛なるウィンス。いえ、私が生涯愛するウィンス・*******。
セピア色になってしまった想い出だけれど想い出は…赤い血とともに私の中に流れ続けるわ。
あのね。私、一つだけ嘘をついたの。もし貴方の冒険譚最終章第25847658569幕が完結したその時には-(以下グシャグシャと塗りつぶされていて読めなくなっている。)
>追伸:あら大変!きっと生地が縮んでしまったのね!
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