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たいへんお腹がすきました
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3 :あんず(転校生/enst!)
2018/10/30(火) 16:37

ぎり、と過去の傷痕を踏みつけられる音がした。一度目は痛くもなんともなかった。そこに傷痕があることさえ、忘れていたのだ。触れるだけのつもりで踏みつけたあの子は、わたしがすっかり平気でいることに寂しそうな顔をした。させてしまった。寂しい、と言わせてしまった。痛くなくなってしまったのが寂しいことなのは、わたしにもわかる。

二度目は内側で血の滲む感覚があった。痛いな、とちょっと思った。でも大丈夫だ。わたしは強くなったし、器用になった。きっといつも通り笑えてただろう。これが『普通』になる日がまた来る。きらきらと眩しい日々を駆け抜けながら、わたしはそれを待つのだ。きっとすぐ、待っていることも忘れてしまうだろう。



『この俺が大好きだって言ってるんだから、自信持って堂々としてよ』
誰にでも同じように優しくないその人の、聞いたことのないような優しい声。もっと頼って、とひそやかに笑う顔。……あれ?わたしはいつのまに、この人の懐にしまわれていたんだろう?
信じてないでしょ、と軽快に笑う。はい、信じていません。
なんで?と首を傾げ合うくらいで丁度いいんですよ、わたしたちは。きっと。

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