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186 :丹楓の手記(崩壊:スターレイル)
2024/10/28(月) 00:00


※独自設定、捏造過多

華燭を灯す前夜
その美狐は、ある日穹から落ちて来た。

波月古海に盛大に墜落した星槎。中に独り残って居ると聞き、海中から救い出し、薄藤の、濡れ鼠ならぬ濡れ狐を腕に抱く。水を多く飲んでいたのでそれを体内から雲吟で以て取り除き、尚も呼吸の止まった青い唇に直接酸素を吹き込んで蘇生を試み…事なきを得た。後日容態を伺えば、けろりと笑って「よくあること」と宣う。……それが、余にとっては全ての始まりだ。

よく笑い、昼夜を問わず皆を照らすお前に惹かれて止まなかった。我ら五人が奇妙にも酒席を共にし、肩を並べ得る間柄になれたのは…間違いなく、白珠、お前という存在あってこそだろう。
お前に焦がれるあまり、似た狐を連れ込んでは、白珠ではないと袖にした。不義で不埒な余の行いは濯ぎきれるものでは無いが、償えぬ罪ならば抱えて往くしかあるまい。


…あの日、酒を強請ったお前を屋敷に呼び付け、夢と嘯いて天蓋の中で肌を重ねた。その終い、お前の一言で我らの虚栄は呆気なく剥がれ落ち、夢を現に変え、夢より甘い恋をした。それらの何もかもが昨日の事のようで、何百年も過去の話のようでもある。


──明日、白珠と華燭の典を挙げる。

独り寝は頑として拒絶するつもりであったが、今宵ばかりは致し方あるまい。余の為に咲き、凡そ三百年程の生涯のうち、もっともうつくしい花となる…その身支度を整えるべく発つ白珠を、薄暮の頃に見送った。
明日になればこの日の為に誂えさせた星槎に乗り、天舶司まで花嫁を迎えに行くのだ。

我が妻に相応の位を授けよと龍師に迫り、公に“楓妃”の尊号を認めさせた。薄藤と黎明が似合いのお前に良く映える差し色となるだろう。…余の色と名が、お前の一部となる。これ程の悦びが在るだろうか。

針仕事に勤しむお前の共であった行燈も今日は一度も点かぬまま。天蓋の中独り、お前に焦がれて夜を過ごしている。だがせめて…前夜であれど、お前の毛繕いだけは誰にも譲りたくはなかった。そればかりが心残りだ。

…………
…………


Dan Feng


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