※独自設定、捏造過多
華燭の典
あの日、星槎が羅浮の古海に落ちたとき、目を開けたあたしの視界に入ったのは古海を映し出したようなうつくしい翠の瞳だった。今日はその色を纏って、あたしはあの人の花嫁になった。身体を磨き上げられ、上質な衣を纏って、化粧を施された。そんなあたしを気に入ったのか、迎えに来た丹楓はとても上機嫌だったように見える。予定にはなかった行動までして、それだけあたしに焦がれてくれたのだと思うと悪い気はしなかった。
そして帝弓の御加護を得た。ひいおばあちゃんが言っていた。「狐族の娘はね、嫁入りの日に陽光の元、雨が降ればそれは帝弓さまが祝福してくれているのよ」と。そんな御伽噺に憧れたことなんてなかった。でもそれは起きた。だからあたしはそれを丹楓に語ると流石に初耳だったのか、彼が雨を降らせたわけではなく(ほんの少し疑っていたのは彼が知っていたら雨を降らせただろうから)、本当に帝弓があたし達を祝福してくれたような気がした。
式は恙無く終わり、視界の端で涙ぐむ両親と鏡流がいた。応星と景元も祝福をしてくれ、あたしはきっとその日、一番美しく咲く花であったと思う。式を終えるなり待ちきれないと丹楓に誘われ、屋敷に戻った。丹楓の口元に移る紅が彼の肌によく映えて、あたしと口付けしたという事実を残す色があまりに綺麗で。
そして名実共にあたしは彼の妻となり、楓妃を冠することとなった。これは丹楓があたしを愛してくれた何よりの証。この日をあたしは生涯忘れることはないだろう。間違いなく今日のあたしは宇宙で一番幸せだったと胸を張れるくらいには、幸せな一日だった。
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Bai Heng