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119.龍兎相和
 ┗35

35 :丹/楓(H/S/R)
2024/07/18(木) 17:37


【覚書:白珠の尾】

壱、先ずは清潔な水で洗い流し、よく濯ぐ。微温湯であれば尚良い。
弐、柔らかい拭布で包むように水気を吸わせる。この際、強く擦ったり搾ったりしてはならない。(そもそも生来の油分が表面にある為、乾燥にそう時間は掛からないようだ)
参、根元に香膏を塗り、つげの櫛を丁寧に通す。

また、就寝時には素雲紗で包み乾燥や寝癖を防ぐ。起床時には壱の行程を省く事もあるが、時に依らず毛並みは常に整えるべきであるから、櫛は何時通しても良い。



床を共にするようになって以来、その毛繕いを習慣とするようになった。あの窓辺で膝に白珠を寝かせ、櫛を通し、香膏を塗り、根元から毛先まで均等に梳かして行く。当然、耳裏にも同様の手入れを施す。そうして艶の乗った、甘い香りのいとしい美狐を抱き上げて、余の寝台へと連れて行く。この風儀を至福と言わずして何と言えようか。

今日は良い香膏を見つけた。龍涎香と云う、希少な香料を用いた品だそうだ。龍の涎とは誰が名付けたのか……実際に余がお前の尾を舐める訳には行くまいが、この清廉な甘さを持つ神秘的な香りは龍の番に似合いだろう。

今日もあの窓辺で、お前を待っている。

龍尊様に毛繕いをして貰える狐族はどこを探してもあたしくらいな気がしますけど、あなたが甘やかしてくれるのが嬉しい。
尻尾吸いは時と場合によりますね、…やっぱり恥ずかしいですし。

でもあなたが気に入ってくれるのは悪い気がしない辺り、惚れた弱味なんでしょうね。



Dan Feng


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