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97 :白珠の手記(崩壊:スターレイル)
2024/09/05(木) 00:59



定刻通り曜青に到着したからその旨を連絡した。いつ以来だろうか、此処に帰って来るのは。町並みは年々変わって行ってる気がする。子供の頃とは違うその景色でもなんとなく空気のせいか、ああ帰って来たって感じがするから不思議だ。もっとも羅浮に帰りたい気持ちも存在するから何とも形容し難い部分ではあるけれど、ひとまず託された土産を天風君に謁見をすれば、どうやって射止めたのか、土産の多さにも大層笑っていたけれど倍で返すと本気か嘘かわからないことを仰るので出来れば後者であることを願うばかりだった。

謁見を終えて、実家に戻ると家族に詰め寄られた。どうやら曜青にまであたしが飲月君を誑かした(そう書くと語弊はあるのだけど)話は広まっているらしい。曜青ではなんとあたしは悪女で飲月君を好きに遣って豪遊三昧、戦場でも矢面に立たせて後ろで侍女に団扇を扇がせて何もしていないという、事実と虚構を織り交ぜたそれは「稀代の悪女・白珠」として講談師が面白可笑しく語っているらしい。ちょっと聞いてみたい。それに丹楓の耳に入ったらどんな顔をするのか少し見てみたい気がした。
謁見が長引いたから流石に鬼灯を取りに行くのは難しいので明日にすることになり、久しぶりに自分の部屋に戻った。定期的に掃除をしてくれているのだろうか、家を出た頃と変わらないそこはなんとも思い出深い反面、あの頃の気持ちを思い出してしまう。ずっと何処か遠くへ行きたかった。ひいおばあちゃんの話を子供の頃から聞いていたせいか、あたしは大人になったら遠くへ行くんだと思って、そうして星槎に乗った。それによって気の置けない友人を得て、伴侶を見つけたのだから僥倖だろう。久しぶりに家で食べる夕餉は美味しかったけれど、なんとなく誰かさんの顔が浮かんで落ち着かなかった。

定刻、約束した時間に黄鐘を鳴らす。
その瞬間、「ああ、やっぱり早く帰りたい」と思ってしまった。


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Bai Heng


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