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119.龍兎相和
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白珠の手記(崩壊:スターレイル)
2024/09/06(金) 01:39
突如通信が入ったかと思えば犯人を想像するには容易くて相変わらず思い切ったことをする子なのに脱力をしつつ、本当に早く帰らなければいけないらしい。ただあの様子だと贈り物にはまだ気づいていないのか、案外寂しがりやだし、応星の元に入り浸っているらしい。何とか予定は恙無く進行しているし、これなら一日くらい日程を縮められそうな気がする。鬼灯も今日取りに行ったし。
あたしの生まれた日に植えられた鬼灯。我が家では大体子供が産まれたら鬼灯を植える習わしがあり、あたしも例に漏れず植えて貰っていた。これを加工して二対の提灯を作り、鬼灯染めの糸で刺繍を施した贈り物をするのが嫁入り前の準備──ではあるのだけれど、刺繍はやっぱり時間がかかる。嫁に行く気もなかったからちゃんと練習をして来なかったあたしも悪いのだとは思う。それはそれとして適材適所、向き不向きもあるけれど。丹楓がくれた手製の紐飾りはよく出来ていた。もしかしてあたしより向いている可能性があるのではなんて思ったりもするけど、それを羨んだところで仕方ない。丹楓の用意した土産に両親は腰を抜かしていたし、親戚含めて大騒ぎになった。そして話題はどうやって誑かしたのか、何処が好きなのかと再三と聞かれた。まあそれもそうだと思う。曜青の狐族が羅浮の龍尊に嫁入りだなんて前代未聞で、その結果あたしは悪女だのなんだの言われてしまっているわけだけれど。
誑かされたのはあたしの方だと言うのに世論は好き勝手に言ったものだと思う。目的の鬼灯は星槎に乗せて貰った。勿論あたしの乗らない星槎に。万が一落ちたとしてもあたしの星槎だけだろうし、何となく帰りは危ない気がした。こんなこと書くとやめろと周りに止められそうだけど星槎殺しの不名誉な異名を持つのだから、やっぱり今回もきっちり仕留めてしまう気がする。思えば初めて丹楓と出会ったときも曜青から羅浮に向かって、鱗淵境に見事に墜落した。そのときに助けてくれたのが丹楓だった。あのときあたしはとうとう死んでしまったのか、帝弓に見放された錯覚を抱いたけれど。まだあたしの命は続いていて、そして我ながらなんというか単純なもので一目惚れをした。青く澄んだ海よりも深い翠の瞳があまりに綺麗で、それからずっと構い倒したように思う。何かあればお酒をねだって、戦場に呼んでときには雨を降らせて貰ったり、意外と頼めばなんでも聞いてくれた。怪我をして戻ればすぐに診察もしてくれたし。そんな彼に少しずつ惹かれて、どうしようもなくなった。夢にするつもりで彼の懐に潜り込んで、それからずっと囚われた気がする。
……あと曜青ですることは将軍への謁見と土産選びだけ。それさえ済めば羅浮に戻っても問題ない。早ければ明後日の早朝には発つことが出来るだろうか。そういえば両親に聞かれてすっかり忘れていたけど花嫁衣装はどうするのだろう、またそれも打ち合わせないといけないかもしれない。着々と準備が進む度、婚儀が近付くのにどうしても落ち着かなくなってしまう。
そういえばカンパニーが新しく曜青に商店を作ったらしい。折角ならそこで丹楓への土産を選ぶのも良いかもしれない。そんなものより早く帰って来いなんていいそうだけど。
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Bai Heng
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