青い空
秋だというのに昨日は夏のように真っ青に晴れ上がった空だった。朝方は薄い紗をかけた薄墨の青だったのに昼近くになるとどこまでも澄み切った青が視界いっぱいに広がっていた。陽に灼ける感覚はまさしく暑いというより焼かれるという感覚で地上にいる私は暑くてたまらないのに空ばかりは涼しげに雲一つなく山の輪郭に区切られるまでその青を広げていた。
私はその青い空を見ながら悟の瞳のようだと考えていたよ。視覚情報が多すぎる悟には青空って見えているのかな。そこら中に溢れかえる呪力や人の身体に巣食う呪いや術式がサーモグラフィーのように見えてしまうその六眼には、青空さえ呪力のノイズが走ったものに見えているのかもしれない。そうだとしたら、君の瞳は空のようだね、と言ってもピンとこないだろう。今まで空のようだと言ってきたんだ。天高く馬肥ゆる秋というが、まさしく、天高く澄み切ってどこまでも青くどこまでも広がり終わりのない青は悟の瞳のようだから。これからはなんと言おうかな。あの美しい瞳は吸い込まれるよう。炎がもっとも熱い時の青い炎にも似ている。
なにかを見た時悟を思い浮かべる。
これがきっと愛だと思うんだ。