甘く弾ける
ペタリとデコに貼られたシートはもうすっかりぬるんでいる。昼間に様子を見に来た恋人が貼ってくれたものだった。何処かの病院で一夜を過ごす彼の代わりではないが、今夜のこの家には客間を自宅よろしく好き勝手使って動画配信をしている友人がいる。眠れなくなってぼんやり端末をいじっていたら配信開始の通知が来たからそのまま眺めていた。今夜は緩く雑談しながらのゲーム配信で、荒れた農地を耕して作物を育てるシミュレーションゲームらしく普段のFPSとは違ってこれなら酔ったりもしなさそうだ。平日のこんな時間でもある程度の視聴者がいるのは流石だな。投げられたコメントに返事をしながら畑を耕してトウモロコシを栽培し、馬に乗ってあちこちを走り回っている。話の内容は他愛なく、それに応える声が心地よく響いている。夜中って腹減るよな、と今何食べたいかで盛り上がっている。いろいろコメントが投げられて、それを眺めながらなんとなく、魔が差した親指が画面を叩く。
#アイスクリーム、ホッピングシャワーの
それをぼんやりして投げると画面の向こうで友人が笑った。ふは、と高い声で笑って楽しげに目を瞬かせる。食べよう、といったが早いか画面から消える友人の足音が画面の外から聞こえてくる。
>シン君が買ってきてたの、知ってたのか?
アイスクリームを買ってきたらしいのは聞いていた。でも中身は知らなかった。ただ、年下の友人が買ってくるものには見当がついていた。彼はよく好きな味のアイスクリームを大きい単位で買ってくるから。
二人でつついた真夜中のアイスクリームは口の中で弾けた。
#アイスクリーム、ホッピングシャワーの
それをぼんやりして投げると画面の向こうで友人が笑った。ふは、と高い声で笑って楽しげに目を瞬かせる。食べよう、といったが早いか画面から消える友人の足音が画面の外から聞こえてくる。
>シン君が買ってきてたの、知ってたのか?
アイスクリームを買ってきたらしいのは聞いていた。でも中身は知らなかった。ただ、年下の友人が買ってくるものには見当がついていた。彼はよく好きな味のアイスクリームを大きい単位で買ってくるから。
二人でつついた真夜中のアイスクリームは口の中で弾けた。